『人事労務戦略』構築専門のコンサルタント 株式会社サムライズ

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No.7話:「働き方改革」に取り組む前に「人事戦略」を組み立てましょう。

「ウチは時間外労働が毎月40時間と多いので、『働き方改革』に取り組んで、これを20時間に削減しよう。ついては、残業は事前申告制を徹底し、遅くとも終業時刻の2時間後の19時までとしよう。」といった取り組みをする企業が増えてきています。

この取り組みは大変素晴らしいことだと思いますし、否定する気もありません。しかしながら、あえて課題にしたいことは、「なぜ時間外労働を削減するのか」また、「なぜ20時間の削減なのか」の根拠です。

 

ここ数年「過労死」「過労自殺」「メンタル不調による休職者」の増加などを背景に「働き方改革」の気運が高まり、政府も法改正により時間外労働時間の上限明記と罰則適用に取り組み、企業サイドの対応がより一層求められるようになりました。

そして、今年に入っての「新型コロナ感染対策」としての「非常事態宣言」が発出されて以降、「テレワーク」や「時差出勤」等に取り組むなど企業の「働き方改革」はさらに加速しています。

 

前述のように「働き方改革」をさらに推し進めるという企業サイドの気運は歓迎すべきですが、多くの企業に対して感じるのが「働き方改革」の目的が明確にされていないのではなかということ、そして、その取り組みによって企業にどのような影響をもたらすかを理解していないのではないかということです。

「いやいや、目的は『健康経営』実現ですよ。」「この取り組みによって、従業員が『働きがい』を感じるようになりますよ。」といった答えが返ってきそうですが、誠に失礼な言い方ですがこれらは私にとって表層的な回答に聞こえます。

 

一口に「時間外労働を40時間から20時間に削減する。」といっても、業務量や人員体制から考えたときに、この目標を達成する一方で、果たして事業の目標数値を達成できるのでしょうか。時間外労働の削減を求められた従業員側から「今年中に納品すべき量を製造できない。」「クライアントから依頼された企画を期日までに完了できない。」といった不満が出てこないでしょうか。時間外労働を削減することによって、別の問題が発生し職場が混乱すれば「本末転倒」と言われても仕方がありません。

しかし、残念ながら「働き方改革」を希求するあまり、そのことが目的化しているケースがとても多いようです。

 

「健康経営」を実現(もちろん、この目標は素晴らしいことです。)するために時間外労働を削減するのであれば、現有人員で対応可能なように受注量を減らすか、あるいは受注量を維持できるように従業員を増員するなどの別角度の対応策を合わせて検討することも必要です。もしくは別角度の対応策ができないのであれば時間外労働を現状のままにして、従業員の内、長時間労働を原因とした疲労蓄積がひどくなっていないかを日々、注意して事業運営するということも「健康経営」ではないでしょうか。

 

要するに企業にとって必要な取り組みが何であるかを整理し、キッチリと「ビジョン」や「戦略」として組み立てなければ、「働き方改革」の具体策が「砂上の楼閣」になりかねません。

労務管理を見直すには、御社なりの現状を踏まえた上で「人事戦略」を構築することが非常に重要であるということを是非ご理解ください。

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