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No.10話:「優秀な人材の流出」とどう向き合い、どんな「戦略」を立てるかが大切です。

先日「品川さん、わが社の若手ナンバーワンが今月末で退職したいと言ってきました。3ヶ月前にも優秀な社員が退職し、業績にも大きな影響が出てきそうで本当に困っています。どうすればいいでしょうか。」とある経営者が相談にいらっしゃいました。

 

同様の相談はコロナ前から近年、多くいただいています。退職の理由が「違法な長時間労働を強いている。」「職場のハラスメントが多い。」というものであれば当然、直ちに改善すべきですが、「処遇に不満はないが、この会社にいても将来が見えない。」「自分のスキルを高める為、他の会社や仕事を経験したい。」という理由で退職する人に対して慰留することはとても困難です。そして、優秀な人材ほど後者の理由で退職する人が多いようです。

 

企業サイドには非常に残念な傾向なのですが、「VUCA」な世の中が進展していることを背景に、優秀な人材ほど20歳代、30歳代の若いうちに豊富な経験や知識を持とうと、「転職」を繰り返すようです。一方で、「自分のスキル向上をポジティブに考えない。」あるいは「職場のローパフォーマー」ほど「同じ会社で定年まで働きたい。」という傾向にあるようです。

 

すなわち、「優秀な人材は長期間会社に留まらずにいずれ退職し、能力の低い人材は逆に退職せずに長期で会社に留まる。」という傾向があるということです。このことは、生産性の高い人材が流出し、生産性の低い人材が滞留するということであり、会社全体の生産性は時とともに低下するということを意味します。当然、これは「何もしなければ」という場合になります。

 

では、どういう対策を講じるべきかですが、「優秀な人材を退職させない。」も「能力の低い人材に辞めてもらう。」も、どちらも非常にハードルが高いと考えてください。前述のように自身のスキル向上に前向きな優秀な人材の「退職の意思」を変えることは困難ですし、ただ「能力が低い」「生産性が低い」というだけでは、現行の法体系では簡単に解雇することはできないからです。

「優秀な人材はいずれ退職し、能力の低い人材は退職せずに会社に留まる。」ということを前提にして、会社組織全体の生産性が維持、あるいは向上する「戦略」を構築するべきです。

 

すなわち、「退職した優秀な人材の代わりを探して入社させる。」「社内の人材を育成して優秀な人材にレベルアップする。」「ローパフォーマーを教育訓練して能力を向上させる。」「ローパフォーマーとなり得る人材は面接・採用試験を強化して、入社させない。」といった対策が必要ということです。

 

今後、日本では必ず「雇用環境の流動化」は進展します。「優秀な人材はいずれ退職し、能力の低い人材は退職せずに会社に留まる。」という傾向はますます強くなります。

その前にしっかりと「戦略」を組み立てることが大切です。

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