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No.11話:人によって異なる「生産性が低い」理由を考えて、対応すべきです。

会社の事業方針にネガティブであり上司や同僚とトラブルを興す人材や、教育や訓練を施しても生産性が改善されない人材を、「問題社員」「ローパフォーマー」などと呼んでいます。いわゆる「パレートの法則」では、彼らの存在は会社で2割を占め、生産性向上を阻害する要因となっています。従って、彼らの処遇は「業績向上」を目指す経営者にとって頭の痛い問題の一つでもあります。

 

大きな会社では彼らを、事業業績に影響のない「窓際」の部署や職種に異動をさせて、以降は関知せずに定年までそのまま放置して(これも近年の企業業績の不振で、困難になっていますが)おくというケースもあるようですが、通常の会社の場合はそうもいかず、いよいよ覚悟を決めてある程度のトラブルと出費を覚悟して、雇用契約を終了(つまり、「解雇」)するといった「荒療治」を選択せざるを得ないこともあるようです。

 

いずれの場合も熟慮の末の処置と思いますが、中には彼らを単に「会社に非協力的だ」「生産性が低い」という現象面だけで、「問題社員」「ローパフォーマー」として「十把一絡げ」で扱い、教育や指導も行わずその処遇を「組織からの排除」ありきで対応する企業もありますが、正しい選択とは思えません。なぜかと言うと「会社に非協力的だ」「生産性が低い」に至る背景には人によって異なるケースがあるからです。

 

例えば、入社したときの上司、先輩、同僚と良い関係ができず、その関係が長い時間解消されなかったことから部署と会社に不信感が生まれ、全てにネガティブになっている人の場合です。この場合は、この人に仕事の内容の教育訓練を何度繰り返しても効果はありませんから、人間関係を回復するためのカウンセリングなどを行うことが必要になります。

 

また、その会社の業務がその人にあわない場合や、会社の風土が馴染まない場合がどうしもあります。これも教育や訓練で解決できる問題ではありません。これは非常に大きな問題で、その人にとって長期間、合わない仕事をつづけることや、馴染めない組織に居続けることは大きな苦痛であり、長ければ長いほど人生にとって大きな損失になり、本当に不幸なことです。こういう人には、その事を会社が早く気づいてあげて、違う職業や会社に転職できる機会を作ってあげるようにすべきです。

 

そして、もう一つ気にかけておくべきタイプがあります。最近ベストセラーとなった「ケーキを切れない不良少年」という本で出てくるタイプの人たちです。彼らは「知的障害」や「適用障害」であると判定される程度ではないが、通常の人より社会生活を営むことが困難な障害を持っています。このようなタイプの人は、会社生活で大きな困難に直面し、ストレスを抱えている一方、専門家でも気づきにくいため当然、上司や同僚に理解してもらえずに「問題社員」などとみなされて、救済されていない場合が多いのです。

 

万が一、上司や同僚が気付いたとしても、プライバシーに関る大変ナイーブな問題であり、彼らへの対応は一企業では困難な場合があります。国や地域社会と一緒になって解決すべき問題ですが、このことを会社が理解しているのとそうでないのは、彼らの人生にとって大きな違いになります。

 

以上、少し例示をしましたが、一口に「生産性が低い」と言って対応を画一的に行うのではなく、その要因をつかんで一人一人適切に対応することがその人の幸福な人生につながり、ひいては会社の大きな発展につながることになります。

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