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No.16話:容赦すべきでない重大な服務規律違反があります。

先日、「多額のお金を横領した従業員がいます。警察に通報した上で懲戒解雇にすると伝えると本人は泣きながら『会社をクビになると、明日から家族を養っていけず路頭に迷わせてしまう。お金は親類縁者からかき集めてすぐに返済する。2度としないので今回だけ見逃して欲しい。』と言ってきました。小さな会社なので彼が急にいなくなると業務に大きな支障がでるので、誓約書を書かせて今回だけは許そうと思うのですが、いかがでしょうか。」というご相談をいただきました。このような相談は意外と多く、このときの私の答えは単純明快、「すぐに辞めさせてください。」だけです。

何故かと言いますと私の経験則の話でしかありませんが、このような従業員を会社に残してよい結果がなかったからです。多くの場合、彼らは再度ルール違反をします。同じ行為(今回のケースでは「横領」)ではなくとも、「経費の過剰申告」や「虚偽報告」といった行為をします。基本的に社会人としての倫理観が希薄なのだと思います。

ここまで言い切ると「人間はちゃんと教育指導すれば、悔い改めて正しい行いをする。そんな悲観的に考えるべきではない。」というご意見をいただくことがあります。確かに「その通り」と思いますが会社は人材の足りない能力を「育成」する場であって、その人の倫理観などを「矯正」する場ではありません。人としての「矯正」はそれを専門とする機関に委ねるしかありません。

また、彼らは再度ルール違反を犯しても「また、泣き落とせば赦してもらえる。」と当然考えていますから、会社が「2度目だから、今度は辞めてもらう。」と伝えると「前は赦してくれたのに、何故今回は赦してくれないのか。不当な解雇だ。」と抵抗することもしばしばあります。そうなれば、前回の時よりも会社側は相当なエネルギーを使わざるを得なくなり、「何故、前回の時に解雇しなかったのか。」と悔いることになります。

そして、何より気にしておかなければならないのが、他の従業員の「目」です。いわば犯罪を行った人物を赦して雇用し続けている会社を、通常の従業員がどう見るかです。恐らく「あんな人をまだ雇うなんて何て緩い会社だ。」「彼と一緒に働くのは嫌だ。早く転職しよう。」という気持ちになるのではないでしょうか。そうなれば職場のモラルやモチベーションは下がり、意識のある人材が退職していくことになり、結果として会社の経営に大きな損害が生じることになります。

「彼を解雇すると業務に支障をきたす。」というお気持ちは確かに理解できますが、前述のような経営への損害と比較したときに、経営者としてどういう選択をされるのでしょうか。「覚えが悪い。」「教えても同じ間違いをする。」「いつも上司に怒られている。」人よりも、仕事はできるが犯罪に対してのモラルに欠ける人材、どちらが大目に見るべきでしょうか。判断を誤れば大きな禍根を残します。くれぐれも判断ミスのないようにしてください。

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