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No.18話:「人事部」スタッフは可能な限り固定化し、育成すべきでしょうか。
2020.10.28
先日、ある経営者の方からのご相談です。「我社では、人事部を含めて全部署を経験できるようにジョブローテーションをしています。しかし、最近は労働関係の法律が変わることが多く、従業員もネットの影響で法律知識が豊富になっており、経験の浅い人事部員では従業員からの相談に適切に対応できなくなっています。やはり、人事部員はジョブローテーションの対象から外して、プロフェッショナル人材を育てた方が良いのでしょうか。」
企業の人事労務を取り巻く環境はまさに「激変」状態です。5年、いや3年の内の労働関係法の改正はそれまでの10年に匹敵するといっても過言ではありません。従って一昔前であれば就業規則も3年に1回に点検して、必要があれば条文の見直しを行う程度でしたが、現在は最低でも年に1回点検をしておかないと、改正後の法令に準拠していない状況に陥る可能性があります。
また、事業の「多角化」に取り組む企業にとっては、現状の人材とは異なるスキルを有する人材を育成し、あるいは採用する必要がある為、広い視野をもった人材が人事労務部門に求められるようになっています。
このような状況であれば、この経営者が考えるように会社としては素養のある人材を「人事労務のプロフェッショナル人材」に育成すべく、ジョブローテーションの対象から外したくなるということも当然と思います。
しかしながら、採用の段階から「人事労務に適した人材」を見極めることは少々、難しいように思います。
人事部に配属したものの従業員の個人情報に関する扱いが軽率(個人情報に関する書類の管理が甘い、他の従業員に流布する等)で改善の可能性がない人材等は、やはり人事労務には「不適格」であり、他の部署に異動せざるを得なくなります。
一方で営業部門や製造部門等、人事以外の部署で働いている従業員でも、職務への取り組み姿勢等の観察によって、人事労務の職務に適する可能性のある人材がいる場合がありますから、ジョブローテーションによって人事労務に異動させて、その適性を発揮させることができます。
また、「人事労務に適した人材」の育成の観点から、人事労務以外の部署に異動させて他の職場の勤務上の課題(労働時間の実態や職場環境など)を体験させたい場合は、ジョブローテーションは有効な手段になります。
いずれにしても、「人事労務のプロフェッショナル人材の育成=人事部固定での純粋培養」には必ずしもなりませんから、
人事労務人材をジョブローテーションから対象外にせず、むしろ積極的にとらえ、「人事労務に適した人材」の発掘、育成手段として考えるべきではないでしょうか。
このように「人事労務人材を計画的に育てる」ことも「戦略人事」の一つです。是非、時間軸を長めにとってご検討ください。
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