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No.19話:「パワハラ」防止対策が不十分な会社は、残念ながら存続できなくなります。
2020.11.04
「入社間もない若手の従業員が、『先輩従業員から仕事のミスを執拗に叱責されたり、地方出身者と言うだけでいわれのない侮辱を受けている。この行為は明らかにパワハラなので何らかの処分をして欲しい。会社が対処しないのであれば、労働基準監督署に告発する。』と申し出てきた。会社としてどのように対処すべきか。」という相談が近年増えてきています。
このような相談いただいたときの経営者の反応は大きく2パターンあるように感じます。「最近は難しい世の中になりましたね。昔は先輩従業員から怒鳴られたり、頭を叩かれたりは日常茶飯事で怒られる側も当たり前のこととして受け入れていました。」とここまでは、同じような感想ですが、ある経営者は「最近の方は限度を超えた注意指導は大きなストレスを感じて、健康に悪影響を及ぼすので注意指導にはパワハラに当たらないように、気を付けるように管理監督者には伝えています。」と答えていただけますし、パワハラへの対応や従業員への啓蒙教育もしっかりしていただけています。
一方で「仕事には厳しさが必要と思います。わが社では先輩従業員はこれまでそうやって一人前に育ってきました。過度にパワハラを注意すると管理監督者が注意指導しにくくなり現場が混乱します。殴る蹴るといった暴力はいけないですが、たまには軽く頭を叩くこともあるようですが怪我をさせることはないし、指導の範囲なので『侮辱』と後輩従業員に認識されるはずはありません。だから、これまでと変わらず厳しくやっていこうと思います。」と回答し、積極的にパワハラ対策をされない経営者もいます。
確かに「業務の適正な範囲」であれば、ときに厳しい口調で注意指導することは必要なことですから否定はしませんし、むしろどんどん行うべきだと思います。しかし、
パワハラ対策をされないことには賛成できません。
何故なら従業員の方にパワハラについて正しく認識していただくことは非常に重要だからです。パワハラは「ハラスメント(いじめ)」です。「いじめ」ですから加害者も自覚せずに陰湿化し、水面下でエスカレートしていきます。記憶に新しいところでは神戸市の小学校の教諭が集団で後輩にパワハラを長期にわたり行っていた事案がありますが、正に密室化し陰湿化した「いじめ」でした。
パワハラについて従業員教育を施したり、相談窓口を設けて本人の相談や同僚からの情報提供を受ける体制を整えておくことは防止策としては極めて有効なのです。
パワハラが職場で起これば被害従業員はストレスを抱えて病気を発症し会社を休むか退職をせざるを得なくなります。一方で加害従業員は傷害罪や名誉棄損により刑事告発され、会社も辞めざるを得なくなります。
これは会社にとって大きな人的損失になります。
また、他の従業員もモチベーションが下がり生産性が低下するなどの悪影響が必ず出てきます。
そして、このような情報は今SNSなどにより簡単に外部に漏れてしまいます。一度ハラスメントの情報がネットに流れると、いくら求人をかけて従業員を募集しても応募がないという状況に陥ってしまいます。そうなれば労働力が確保できず事業を継続することが出来なくなることも想定されます。
セクハラも含めてハラスメントの対策は安易に考えてはいけません。その影響を正しく理解してしっかり対応するようにしてください。
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