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No.23話:従業員は「社長目線に立って」仕事をすることはできません。

色んな会社の社長とお話ししていると「従業員、特に管理監督職にある者には我々経営者と同じ目線、感覚で仕事と向き合って欲しい。そうすればもう一歩踏み込んだ仕事の進め方ができるはずだ。」といった言葉をお聞きします。

このような社長のお気持ちはよくわかります。日々、会社に出社し、与えられた仕事を卒無くこなし、目標を達成している従業員の姿を見ていると、それを「良し」とする一方で何となく物足りない気持ちになるのでしょう。つまり「社長である自分と同じ考えでいてくれたら、もっと商品の新しい販路を開拓するのでは。もっと違う業態への取り組みを提案してくれるのでは。」といった「より一層、高いレベルの仕事をして欲しい。」という「期待」が生じてしまうようです。

しかし、正直申し上げてこれは「過度の期待」と言わざるを得ません。もちろん中には「経営者目線」に近いレベルの意識をもって仕事に取り組む従業員もいますが、残念ながら社長の悩みや辛さは究極にはほとんどの従業員に理解してもらえません。自分で実際に会社を経営することがあれば、彼らにも理解できるかもしれませんが、従業員身分でいる間は到達しえない感覚ではないでしょうか。仮に取締役や執行役員などに昇格させたとしても「社長」という立場は別格だと思います。そもそも「経営者目線」をもって仕事ができる人は、従業員に甘んじることなく自分で会社を起業しています。

逆の視点で従業員から「社長も従業員の立場に立って考えて欲しい。」と言われても、「できるだけその立場に立って考えよう。」とは思うけれども、社長と従業員は全く別物ですから、従業員のような気持ちで仕事に向き合うことは難しいと感じるのではないでしょうか。「俺は他の会社でサラリーマンをしたことがあるから従業員の気持ちは理解できる。」という方もいますが、ひと度「社長」の立場で事業経営に携わって、経営者の感性を研ぎ澄ましてきていると、従業員の気持ちに立ち返ることはかなり難しいと思います。

確かに「経営者目線に立て」と従業員に声をかけることは指導教育の上では重要ですが、過度に期待しないことです。やはり従業員は従業員の立場でしか仕事に向き合うことができません。社長と従業員がお互いの立場を尊重して「理解し合う」ことはできるかもしれませんが、同じ目線で仕事に取り組むことを求めることは非常にハードルが高いと思います。

社長は自分の会社の事業運営に対してたった一人で全責任を負う立場にあります。その重圧は会社の規模の大小に関わらず大きいのではないでしょうか。だから当然のこととして「社長の立場」は従業員には理解してもらえるものでもなく、理解できるはずもないと思うのです。

一方、従業員は会社に自分の労働力を提供して、その対価として賃金をもらうことが本質です。それ以上のことはできないのです。従業員は提供した労働力に見合った賃金が得られないのであれば、その会社から離れて違う会社を探せばいいだけですが、社長はそうはいきません。自分の会社の経営から逃げることが出来ないのです。社長は孤独です。その孤独を甘んじて受け入れて、従業員を引っ張っていくしか  ないのです。

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