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No.24話:御社での「人材の多様性」の目的とは何でしょうか。

 人材の「多様性」という意味で「ダイバーシティ」という言葉が、この数年で使われることが多くなりました。「多様性」の促進というと何やら個性あふれる人材が職場を席巻し、楽しいことが巻き起こり、職場が活性化して、次々と会社にイノベーションをもたらしてくれるようなイメージでとらえているのではないですか。確かに想定していたような事態になればいいのですが・・・。

 ここでちょっと整理してみましょう。「多様性」と一口にいっても色んな意味があると思います。「技術の多様性」「思考の多様性」「ライフスタイルの多様性」「価値観の多様性」「性志向の多様性」など色々な「多様性」が頭をひねくると出てきそうですね。すなわち、「多様性」の対象が変われば、その意味も変わってくるということです。だからこそ、求める「多様性」の対象を明確にしておかないと、何のために企業が「多様性」を志向するのかがぼやけてしまい、「多様性」そのものが目的化してしまいかねません。

 「企業文化が固まっているので、新しい文化を作り出せる変わった人材が欲しい。」「性別にこだわらないファッションブランドを立ち上げたいので、両性的な感性を持った人材が欲しい。」「従業員のライフスタイルを尊重する職場を作りたいので、働き方と生き方にバランス感覚のある人材が欲しい。」といったように、その企業にとっての「多様性」のテーマを確立しておくことが不可欠になります。

 一方、「多様性」のテーマを設定して人材を募集しても、集まった人材がそのテーマの中では同じベクトルをもった人ばかりでは、「多様性のようなもの」にしかならないので注意が必要です。つまり、金太郎飴を店頭に置いていても面白くないと思い、菓子パンを仕入れたところがみんなアンパンばかりという結末のようなものです。メロンパンも欲しいし、チョコデニッシュもないと菓子パンの好みの異なるお客様に来店してもらえないということです。

 企業に置き換えるとベクトルが違う人材が集まって初めて、角度や方向性の異なる意見が議論のテーブルに上がるのであり、それぞれの意見や思いが切磋琢磨することがまさしくイノベーションをもたらす「新結合」につながるということです。すなわち、「企業にイノベーションをもたらして欲しい。」という期待をするのであれば、そこまで計画立てて人材の「多様性」を希求する必要があるいうことです。

 そして最後にもう一つ、企業側に多様な人材を受け入れる覚悟があるかということです。歴史があり、揺るぎようのない文化が確立している企業ほど異質な人材への抵抗感は大きいものです。社長が決断しても現場が受け入れられないというケースは枚挙にいとまがありません。変化をもたらす人材ほど異質性は高いものです。そういう人材を目の当たりにしたときに、ノーマルな従業員たちがどういった反応を示すかは想像に難くありません。とにもかくにも、多様な人材を採用すると決めても、受け入れる側が組織的に消化不良を起こしては身も蓋もないです。そこまで考えて初めて「多様性」が動き出すということです。

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