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2020.08.26
従業員を雇用する場合の費用って何でしょう。賃金といった直接本人に支払う金銭。それ以外には健康保険や雇用保険といった会社が負担すべき社会保険料、こういった費用はすぐに思いつくはずですし、当然、業種ごとに売上高に対する人件費の比率の目安があり、会社の体力に見合った範囲で設定しているのではないでしょうか。
さらに進んで体力がある会社の場合だと、賞与、退職金の支給や、契約保養所の提供といった福利厚生制度の充実も費用として設定しています。しかし、これは必要用件ではありません。あることに越したことはないのですが、従業員を雇用する上での絶対条件ではないですね。
逆におろそかにしがちなのが、年次有給休暇を取得させるための費用です。以前にもお話ししましたが、今や「年次有給休暇の取得」は従業員を雇用する上で、当然整えておく労働環境です。しかしながら一口に「年次有給休暇の取得」と言っても、休暇が消化されるだけで費用の発生はイメージがしにくいものです。
現実に、「法律通り取得させたいが、休みを取られるお仕事をカバーする人員がいないから困る。」「時間給のパート労働者が年次有給休暇を取得すると、休みに対してお金を支払っているので納得がいかない。」といった声が経営者からよく聴きますが、これははじめから年次有給休暇を取得させることを想定した人員体制を構築していないことに他なりません。
「余剰人員を抱えるほどの余裕はない。」とお叱りを受けそうですが、余剰人員を含めた人的費用を想定して経費を組み立てているかが、今問われているのです。極論になりますが、賞与や退職金の支給や保養所の提供よりも優先される費用と思ってください。もちろん、今ある賞与や退職金等を取りやめる必要はありませんが、どちらの充実を優先すべきかに直面した時は迷うことなく、年次有給休暇を取得できる環境づくりを優先すべきです。
また、別の視点ですが、従業員にとって「賃金は上がる。」ということです。従業員本人の能力の向上度合いや会社への貢献度合いに関わらず、従業員は「賃金は上がる。」ものと期待しています。その期待を裏切られると従業員は会社に対して失望し、最終的には退職を選択します。これでは会社経営を持続させることが難しくなります。
売上高に対する人件費の比率を考慮すると「賃金は上がる。」を実現するには、売上高を上げ続けなければなりませんが、高度成長期が再来でもしない限り非常にハードルの高い問題となります。となれば売上高の伸び率を「辛目」に見て、賃金制度を再構築するということに早く取り組まなければなりません。
人的費用は「今」だけではなく、「将来」も見据えて計画を立てることが重要であるとお判りいただけたでしょうか。狭い視野ではなく、広い視野をもって人事ビジョンを組み立てることを始めてみませんか。手をこまねいている暇はありません。
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