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No.29話:それでも「情(じょう)」は職場に必要です。

「労務管理の機械化」や「人事評価のAI化」など、人事管理のシステム化に関する動きが近年顕著になってきています。IT技術のめざましい発展とともに日本国内における労働力不足の深刻化が背景にあります。特に昨年の新型コロナ感染拡大防止のための「緊急事態宣言」発出以降は、中小企業に至るまで業務全般のシステム化に拍車がかかっているようです。

日本国内におけるシステム化の動きは、労働者の負担軽減や業務の効率化、迅速化を招来し、労働生産性の向上につながるので歓迎すべきですが、人間を介さないことで生じる様々な弊害も危惧されています。

例えば、笑顔で明るく振舞っていても心に大きな悩みを抱えている人は、最新のコンピューターやロボットであれば心拍数や声のトーンで判別できるかもしれません。しかし、人間のように黙って暖かく抱きしめてあげたり、気の利いた言葉を感情を込めて掛けてあげることはできません。恐らくいつまでたっても人間にしかできないことだと思います。

職場においても、コンピューターやロボットに仕事の頑張りを褒めてもらっても、背景にシステムによるものだと考えると心の底から喜べるものではありません。やはり人間である上司や同僚に心を込めて褒めてもらったり、応援してもらう方が嬉しいはずです。システムが高度化しても限界があるのです。

とりわけ人事は「人の事」ですからシステム化だけでは解決のできない問題です。コンピューターがAさんとBさんのいずれかを昇格させるのかを判断させる場合に、評価がほとんど同じであれば基準となる評価点が大きい方を選択します。しかし評価者である人間(上司)は点数だけでは判断しません。その人の仕事への思い、経験した苦労や喜び、そして育ってきた環境、家族の成り立ちなど生活者としての背景も見ながら選択します。

感情をもって部下や同僚に接して、より良い関係を築き、最高の職場、会社を作っていくのです。もちろん、全てに「情(じょう)」が優先されて「好き・嫌い」が過度に反映され、不公平な取り扱いに陥ることは許されませんが、相手の立場に立って考えることができるのであれば「情(じょう)」を出してもいいのです。むしろ出すべきだと思います。

上司や先輩、そして人事は、部下や後輩従業員の本来持っている能力を存分に発揮させ、その能力を更なる高みへと育成する役割を担っています。評価は育成の手段の一つでしかありません。あなたも昔、先輩に暖かい感情を持って受けた指導や叱責は覚えているのではないですか。それによって仕事に対する取り組み方や考え方が変わったのではないですか。

システム化、機械化は確かに重要であり、今後も不可欠になってきます。しかし、それを鵜呑みにし、無条件で信頼することはすべきではないです。システムや機械の力を借りながら、最後は人間力で解決する。これが本来あるべき姿ではないでしょうか。

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