『人事労務戦略』構築専門のコンサルタント 株式会社サムライズ

No.30話:「労働生産性」を高めるために何をすべきでしょうか。

「OECD加盟国の中で日本の労働生産性は最下位だ。」「もっと効率よく働かないと日本の労働生産性は向上しない。」この10年ほどの間に経済の専門家が口にするフレーズです。確かに統計的には「低い」ということなのでしょうが、数値の取り方によっては「日本の労働生産性は決して低くない。」と主張する方もいます。いずれにしても間違いなく言えることは「バブルの崩壊」以降、現在まで日本の経済はそれ以前と比べて全体的に低迷していることは間違いないようです。

ご存じのとおり「労働生産性」は企業が生み出す「付加価値」を、投入される「労働量」で除して計算します。投入する「労働量」が一定で生み出す「付加価値」が大きければ「労働生産性」は高く、一方で投入する「労働量」を増やしても生み出される「付加価値」が変わらなければ「労働生産性」は低下することになります。

「労働量」は従業員の増員や労働時間が長くなれば当然増加します。日本の総実労働時間は先進国では上位(長時間)にありますから「労働生産性」は低くならざるを得ません。そこで近年は長時間労働の是正や年次有給休暇の取得促進を、国として積極的に取り組むようになりました。しかしながら一方で少子高齢化によって労働力人口が減少に転じていることから、日本国内の企業の多くでは思うように労働時間を縮小できていません。従って、「労働量」を削減することで「労働生産性」を向上させることは現時点では誠に困難と言わざるを得ません。

「労働量」の削減による「労働生産性」の向上が期待薄であれば、分子である「付加価値」の高い商品やサービスを作って売るということに注力するしかありません。事実、この30年欧米を中心に「付加価値」の高い情報サービス部門を中心産業として据える政策を進めてきました。「GAFA」やマイクロソフトといった企業がその産物として、急速に発展してきました。そのため、欧米諸国の「労働生産性」が上位に位置付けられています。

一方で日本においては、「付加価値」の高いものを従来製品に「新しい機能」を付け加える「持続的イノベーション」によって切り拓こうしました。しかしながら日本製品の「新しい機能」は「必要以上」のいらない機能となり、「必要最低限の機能」を備えた低価格の韓国や中国の製品に市場から駆逐され「付加価値」の向上につなげることができませんでした。

このような中、近年になってやっと国内で言われるようになったのが従来の価値観を覆す「破壊的イノベーション」となる商品やサービス、仕組み(プラットフォーム)の創出です。

しかしながら「破壊的イノベーション」は一企業が単独で、もたらすことは困難であると私は考えています。社会全体の仕組みが変わらなければなりません。それは「家庭教育」から始まり「会社法」の改正といった国家政策に関ることです。もちろん企業においても「兼業副業の奨励」や「チャレンジ精神を尊重する人事制度」といった人材育成の変革に取り組み必要があります。

「失われた30年」が30年で終結するように「労働生産性」を高めるために、企業が人材育成をどのように今後進めていくかを真剣に考える時季が来ています。先延ばしはできません。

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