『人事労務戦略』構築専門のコンサルタント 株式会社サムライズ

No.33話:60歳以上の雇用者の「働く」モチベーションの維持向上が大切です。

ご存じのとおり日本国内の労働力人口は、今後減少することが予測されています。業種によってはすでに深刻な「人手不足」に陥っており、「求人をしても応募がなく、事業運営ができない。」という状況です。新型コロナの影響で失業者が増え「人員は過剰」であるという見方もありますが、国レベルではコロナ下にあっても職場の人員は「不足」していることに変わりはないと思います。

このような中、従前より政府は業績が停滞している産業から好調な産業への人材の移動が活発化する「雇用の流動化」に関する政策に取組んでいます。「ジョブ型雇用」の促進を呼びかけるのもその一環といえます。

また、労働力人口減少への対策のひとつとして「定年後再雇用」「定年年齢の引き上げ」「定年の廃止」による65歳までの雇用確保措置が事業所に義務付けられています。なお、本年4月1日からは努力義務ではありますが、雇用確保措置の年齢を65歳から70歳とする改正高年齢雇用安定法が施行されます。

60歳以上の雇用促進が社会全体の動きではありますが、残念ながら中小企業では脆弱な企業体力を背景に60歳で定年、そして賃金水準を引き下げての「再雇用」という選択をする企業がほとんどのようです。賃金水準は現役時の50%を切る場合もあり、これでは彼らが仕事に意欲をもって取り組むことは少々困難です。彼らの仕事に対するモチベーションは下がることはあっても、上がる人は多くありません。当然、会社への成果貢献度は低く、人によっては後輩の現役社員の邪魔をするといった弊害を招くケースもあるようです。

一方、会社によってはいまだに定年再雇用者に対して「会社への貢献を期待していない。」「法律のため仕方なく雇っている。」という感覚でとらえているところもあります。労使双方が定年再雇用をネガティブに考えていてはお互いに良いわけはありません。やはり60歳以上の方に高いモチベーションで職場に残ってもらう労働条件を整えるべきです。

このような中、先日60歳以上雇用者にも成果主義を適用する企業の記事がありました。この取り組みを否定する気はありませんが、無条件で全員に適用するのは賛成できません。昨今「ワーク・ライフ・バランス」を尊重する労働者が増えています。60歳という一般的に「定年」と呼ばれる年齢を目の前に、シニア世代は「ライフ」の時間にウエイトを置き、「プライベートの時間を大切にしたい。」と考えている方が多いと思います。従って「60歳以降もトップスピードで頑張って欲しい。」という会社の考え方を歓迎する方ばかりではないと思います。「まだまだ仕事は頑張るが、人生を楽しむ時間も欲しい。」と考える人もいることも十分踏まえる必要があります。幅広いシニア世代の人生の選択肢に対応した「働き方」を設定してあげれば、高いモチベーションを維持しながら職場で頑張っていただけるはずです。また、職場で活き活きと頑張っている先輩シニアを見て、現役メンバーも自分がシニア世代になった時の未来に対してポジティブに考えるようになると思います。

いずれにしても、60歳以上の方に意欲をもってまだまだ頑張ってもらうために、定年までにどういう準備をしてもらうか、そして60歳以降にどのような活躍をしてもらうのかをポジティブに計画を立てておくべきです。

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