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No.39話:労使のこじれ話は「第三者」に入ってもらう方が良いときもあります。
2021.03.24
労務コンサルタントのお仕事をしていると、会社と従業員の間で生じた「紛争」に立ち会うことがあります。会社から立会いを求められるということは、ある程度「もめている」状態であり、当事者間で話し合っても解決できそうにないということでもあります。
立会いに際して、会社から事前にいただく従業員の情報は「これだけ説明しているのに理解しようとしない者。」「日頃から上司や先輩をバカにしている者。」などネガティブなものが多いです。そこで、こちらも少々身構えて、その従業員との面談に立ち会うのですが、いたって普通の良識ある従業員であることがほとんどです。彼らが言わんとすることも多少は思い込みもありますが、理解できる範疇のものであり、労使双方の主張を「交通整理」してあげれば、解決が難しい内容ではありません。
では何故、当事者間では話がこじれてしまうのでしょうか。まず第一に会社の担当者(上司など)と当該従業員との間に「感情的なしこり」が生じていることが考えられます。従業員は「あの上司は私を会社にいられなくするようにしているのだ。」などと思い、担当者は「これだけ面倒を見てあげているのに、揉めるようなことを言って私を困らせるつもりなのだ。」などと思いこんでいる状態です。
こうなると「感情的なしこり」を簡単に解消することはできず、当事者間では建設的な解決方法を見つけることは困難になります。
お互いが「あの人と話し合ってもムダ。」と思っているのに、周囲が「まあまあ、お互いに冷静になって話し合ってよ。」と言っても効果はありません。「言葉のキャッチボール」でいうと、ボールを持っている方がボールを投げるフリもしないし、受け取る側もボールを受け取る構えもしないという状態。これではキャッチボールは成立しません。
では、どうすればよいかですが冒頭に申し上げたように、当事者間での話し合いを続けさせるのではなく、「第三者」に話し合いに参加して合意形成をしていくという方法です。では「誰が適任か。」ということになりますが、当事者それぞれが信頼している人物がベストです。そういう方がいなければ当事者双方に利害関係が無いか、少ない人でも構いません。必ずしも「社外の人」である必要はないのです。
何故「第三者」が話し合いに参加することが良いのかですが、先ほどの「言葉のキャッチボール」で例えると
どちらかが「第三者」にボールを投げてくれ、あるいは「第三者」からのボールを受けてくれるようになるからです。
つまり、キャッチボールが成立することになるからです。
このように話し合いが進展していくと解決に至る可能性が高くなります。当事者間で当初、検討していた解決案のままで合意形成することもあります。(これなどは「感情的なしこり」が解決を阻害していたことを顕著に表しています。)
私的な「第三者」が入っても解決ができない場合は都道府県労働局の「あっせん」など、公的な「第三者」を通じて解決を図ることも可能です。いずれにしても、「感情的なしこり」のために解決ができず、大切な従業員が不満を抱えて仕事を続けたり、退職してしまっては会社にとって大きな損失です。どうすれば紛争を解決できるかを考えていくべきです。
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