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No.45話:「労働時間管理」「健康管理」ができていないのは、会社の責任です。

出勤時間と退勤時間の記録、時間外労働や休日労働の事前申請は従業員が行います。最近はデジタル化が進んでおり、従業員証を機械に当てると自動的にこれらの時間が記録されて便利になってきていますが、まだまだ多くの企業ではタイムカードや手書きの出勤簿による管理が多いようです。

さて、以上のとおり労働時間の申告は従業員が行いますが、その管理責任は当然会社にあります。しかし、この認識がない会社がいまだに多いのも事実です。先日、ある関与先企業に労働基準監督署の抜き打ち調査があり、出勤簿の提示を求められました。さて、その会社は手書きの出勤簿でしたが、多くの箇所で出勤時間、退勤時間の記入漏れがありました。当然そのことを監督官に指摘されたのですが、あろうことか対応した人事担当者が「従業員には記入漏れがないように注意しているのですが、何名かは改めてくれないのでこちらが困っています。これは彼らの責任なので監督署の方から指導してもらえないですか。」と答えてしまったのです。

何が間違っているか皆さんにはお分かりと思います。従業員に出勤時間、退勤時間の事実を漏れなく記入させ、間違いがないかを確認し所定労働時間を超えて在社している場合は、時間外労働の有無を確認して、その事実があれば時間外労働の事後申告を命じるということが「労働時間管理」であり、それは会社が責任をもって履行しなければなりません。

つまり、事前申請をせずに毎日2時間残業をしている従業員がいることを労働基準監督署の調査で指摘されて、「我社では時間外労働は事前申請がないとできません。また、日々定時に帰るように従業員には指導をしています。だから、その残業について会社は一切責任がありません。」と答えても、時間外労働の事実が確認された以上は、時間外手当の支払い義務から逃れることはできません。

また、事前事後に関わらず申請のない時間外労働を毎月100時間続けていた従業員が、不幸にも「過労死」した場合には、会社は「時間外労働の事実を知らなかったので責任はない。」では通用せず、刑事責任と気の遠くなるような遺族への賠償責任を負うことになります。このように「時間管理」に関する会社の責任は極めて大きいと認識すべきです。

加えて近年は従業員の「健康管理」についても、会社の責任が問われる事件が増えています。もちろんのことですが、自分の「健康管理」は従業員自身が行うべきことです。しかしながら、従業員が在職中に会社の定期健康診断で生活習慣病が確認され、なおかつ健康診断票に「異常所見あり」と会社が認識している場合は、「医師の面談」など指示されたことを従業員が履行するように指導しなければなりません。

例えば高血圧の所見がある従業員が、早期に専門医の診察を受けるように指示されているにも関わらず、「忙しい」といって診察を先送りにしており、そのことを会社が認知して積極的に受診するように指導しておらず、万が一にその従業員が運転業務中に意識を失い第3者をはねて死亡させた場合は、会社の責任が問われる可能性が高くなります。「早く受診するように言っておいたのですが・・。」では済まされない問題です。

経営は常に結果責任が問われます。「時間管理」も「健康管理」もできるまで指示命令して初めて会社の責任を全うしたことになります。くれぐれも安易に認識しないようにしてください。

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