『人事労務戦略』構築専門のコンサルタント 株式会社サムライズ

No.53話:部下への注意指導も言葉をひと工夫するだけで、効果に差が出ます。

「私って、褒められて育つタイプなんです。」という人がいますが、あながち間違っていないようです。人間には「承認欲求」というものがあり、「褒められたい。」という気持ちは本質的なものと言えます。従いまして、厳しい言葉で叱責され、指導されるよりも優しい言葉で助言してもらえる方が心の中に受け入れやすくなるようです。

また、否定的な言葉よりも肯定的な言葉のほうを人間は好意的に受け止めます。せっかく有益な情報を提供したのにも関わらず、受け手側がその情報に低い評価をしてしまうと情報提供した側は相手に対して良く思わないということです。例えば「先日、駅前の〇〇という洋食屋さんで食事をしたけれど、とても美味しかったよ。近くに行ったときは是非、使ってみてよ。」と自分は有益な情報を提供したつもりであるのに、「〇〇でしょう。私は先月言ってみたけどご飯はべちゃべちゃで、コロッケもサクッと揚がっていなくてもう一つだったよ。あの店のどこが美味しいの。△△の方が絶対に美味しいよ。」と答えられると、だれでも「もう二度と情報提供するものか。」という気持ちになるのと思います。

本当に美味しくないと思うのであれば、あえてその事には触れず、「ありがとう。今度行ってみるね。」とさりげなく答えればいいと思います。情報提供してくれた人の気持ちを考えれば、わざわざ相手に嫌われる答え方はしないはずです。

さて、話を元に戻しますと人間には「承認欲求」があり、承認してくれた人に対して好意を感じ、その人との関係を良好にしようとします。つまり、職場において従業員同士がこの人間の特性を上手く使えば職場の人間関係が良好になるということです。人間関係が良好になれば職場の雰囲気は良くなり、「同僚と働くことが楽しくなる。」につながります。すなわち「働きがい」を感じる職場が生まれ、従業員の生産性向上につながるということです。

とはいえ「承認欲求」というと「なんでも『承認』しなければならないのか。ミスが続いたり、不真面目と思える従業員の言動を肯定なんてできない。」とのご指摘は当然あると思います。間違っている「行い」はもちろん注意指導して改善を促すべきだと思いますが、注意指導の仕方を「承認欲求」を上手く使えばより効果的になるということです。

例えば仕事のミスが多い部下に対して、ストレートにそのミスの指摘と改善を指導するのではなく、「最近、格段に仕事のスピードが上がっているね。いい傾向だと思うよ。ところで先日〇〇と〇〇のミスがあったけれど、仕事が完了したときの確認が不十分であったのが原因ではないかな。確認をしっかりすればミスはなくなるはず。より完成度の高い仕事の達成まであと少しだから。頑張ってね。」と言ってあげられるかということです。

最初から「ミスが続いているぞ。確認漏れが多いんだ。仕事のスピードが上がっても意味がない。確認を怠るな。」と注意されるよりは、部下としては現状の自分の仕事を一旦「承認」されると、次の具体的な指導に対して真摯に聴こうという気持ちになるのではないでしょうか。

「YES―BUT」と言われるようにまずは肯定から会話を始めるだけで、「BUT(しかし)」が活かされます。従業員を育成するも腐らせるのも言葉一つで変わってきますので是非とも心掛けたいですね。

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