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No.54話:「雇用の流動化」により何が起こるかを正しく認識していますか。

バブル崩壊以前は世間で、「一部上場企業に入社すれば、将来は安泰だね。」などと言われました。また当時は一部上場企業に限らず中小企業においても、「終身雇用」「年功序列」の時代でしたので職業人生において「転職」を体験することは今ほどではなく、その会社で必要な知識とスキルを身に着けていれば職務を遂行するに困ることはありませんでした。

このような状況でしたから、仕事上で何らかの不始末を起こし万が一、「一生安泰」と思っていた会社を退職せざるを得なくなれば「路頭に迷う」ということもあり得ました。また、山崎豊子さんの小説「沈まぬ太陽」のように経営者や上司の意に沿わぬ行動を起こし異分子のレッテルを張られてしまうと、定年まで閑職に追いやられることもこの時代のサラリーマンの悲哀でもありました。

当然、冒険を好まず経営者や上司の指示であれば「黒いものでも白」と疑問を差しはさまず、唯々諾々と仕事こなすようないわゆる「社畜」に甘んじる時代でもあったわけです。すべての企業がそうだったというわけではありませんが、「終身雇用」「年功序列」の弊害がみられた時代でもありました。

ところが21世紀に入って以降は「挑戦」志向が弱く、「臭い物に蓋をする」という風土では世界を相手に生き残ることができないとわかってから、多くの企業で旧態依然とした従業員意識の改善に取り組む企業が増えてきました。能動的な従業員を育成すべく「成果主義」といった人事評価制度の見直しが行われたのはこの時期です。

同時に「社会ルールを守ろう。」とする企業の積極的な姿勢も見られるようになってきました。とはいうものの、一部の企業においては法令遵守を軽く考えるところもあり、表向きには「違法行為は我社においては考えられない。」とうそぶきながら、ひとたび事件が発生すれば「従業員の不祥事をお詫びします。」と、記者会見で経営者が平身低頭する姿がいまだに報道されています。

今後「終身雇用」「年功序列」が大きく見直され、「雇用の流動化」が進展していくと企業の社会ルールに対する姿勢はより厳しく問われるようなると思います。転職を繰り返している従業員は、かつてのように会社や経営者にロイヤリティを強く感じません。従って、直接的な指示をしなくても経営者や上司、同僚の違法な行為を目にすれば、「その行為はおかしいでしょう。」と指摘してくる従業員が増えてきます。あるいは指摘しないまでも「内部告発」を行うこともあり得ます。もう従業員に「臭い物に蓋」をさせることはできません。ましてや、彼らは「この会社は社会ルールを守らない。この会社にいても社会に貢献できない。」と、間違いなく他社への転職を選択すると思います。

「雇用の流動化」といいますと、「人材の出入りが激しくなる。」「人件費が高騰する。」ということを考えがちですが、それだけではなく受け入れる企業の社会性も問われるということです。優秀ではありますが「一匹狼」のような人材が流れ込んでくることになりますから、企業側が常に「襟を正す」姿勢がないと思いもよらないことで足をすくわれかねません。「雇用の流動化」だけで「現在」をみるべきではありません。大きな「人材雇用変革」の時期を迎えているという認識にたって企業の労務管理を考えるべきと思います。

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