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No.59話:若い世代の「早期退職」解消に向き合っていますか。
2021.08.11
2020年10月30日の厚生労働省の発表によると、就職後3年以内の離職率は平成29年3月卒業の新規高卒就職者が39.5%、新規大卒就職者が32.8%となっています。すなわち高卒者はおよそ4割、大卒者はおよそ3割ということですが、顧問業務を通じて感じることは実際には、この4割あるいは3割の内の「3分の1」、
すなわち新卒者のおよそ1割は入社して半年以内に退職しているということです。
新卒採用者の確保のために求人広告や数度の面接、採用後の研修など時間、費用そして労力といった相当なエネルギーを使っている企業サイドとしては、入社後の早期退職は本当に頭の痛い問題です。そして、この問題は中小企業に限ったことではなく、大手企業でも生じています。
特に「この人は我社の将来の経営を担う、またとない優秀な人材だ。よくぞ我社に入社してくれた。」と喜んでいたのも束の間で、当の本人から数か月後に「自分が思い描いていた仕事ではありませんでした。長く続くとは思えないので、ご迷惑にならない内に退職します。」と申し出られて、経営者がひどく落胆するという事例は枚挙にいとまがありません。
「仕事が向いているか、向いていないかは半年程度では分からないではないか。」「やっているうちに仕事の面白さが分かってくるのに、入社して早々に『面白くない』と判断するのは時期尚早だ。もったいない。」という経営者や人事担当者の嘆きを目の当たりにします。全くその通りと思いますが、
残念ながら優秀な人材ほど「続ける」か「転職するか」の判断は早く
、彼らに「この会社では自分は成長できない。」と判断され退職されてしまうと、結局は「ありきたりな」人材しか残っていないという残念な結果になり得ます。
この現実を目の前にして、いまだ「最近の若い人は我慢が足りない。」と彼らの気質への不満を口にしたところで虚しいだけではないでしょうか。まずは「従来のような採用方法や人材育成カリキュラムではもう古いのではないか。」という疑問を持つべきと思います。手をこまねいていると必要な人材がどんどん他の会社に奪われてしまい、会社の事業継続に必要な人材を確保できなくなるということをリスクとして認識すべきです。
入社前に3ヶ月ほど実際に勤務する予定の職場で実際の職務を体験させて、本人の納得感を高めてから本採用をする企業もあります。面接を通じて在職中の先輩社員と何度もディスカッションを行い、職務内容を丁寧に説明して入社後の「ミスマッチ」の解消に粘り強く取り組んでいる会社もあります。つまり、これらの会社は安定して人材を確保するために相当な「知恵を絞っている。」ということです。
勘違いしてはならないのは、イマドキの求職者に「おもねる」ということではないということです。彼らの要望に無限定で対応すると必ず足元を見られます。そして、良い様にされて「要望通りしたので、さあ、これから我社で能力を発揮してもらえる。」というときに転職されて、結局企業側がもてあそばれて憤慨して終わるだけです。大切なことは彼らの「ニーズ」を客観的に把握して、会社として可能な範囲で「職務の提供」や「人材育成」といった環境を提示することです。できないことは無理をして取り組む必要はありません。あとは人材がその会社を選択するか否かということだけです。
まずもって、今の若い世代の思考や価値観を正確に見つめて理解することです。そのためにも今も職場で頑張っている20代後半、そして30代の従業員の意見を積極的に取り入れることが最も近道だと思います。
もう「ゆとり世代以降はどうも根性が足りない。」とそんなことを言っている場合ではないのです。
残念ながら「ゆとり世代」もすでに「死語」でしかありません。考え方をそろそろ切り替えてみませんか。
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