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No.66話:従業員の仕事の効率の低い理由を分析していますか。

先日、ある経営者から「残業をせずに所定労働時間内に与えられた仕事を完了することがベストだが、一方でその人よりも効率は悪いが残業をしてでも責任をもって与えられた仕事を完了する人も私はそれなりに評価しているのです。」というお話を聞きました。

仕事の効率だけで見ると確かに残業をせずに同じ仕事を時間内に完了させる従業員が、そうでない人より評価が高いということは当然のことです。しかし、この経営者が言うように与えられた仕事を完了するという「責任感」で評価する場合は、「効率が悪い」人であっても評価を低くすることはできないと思います。すなわち、この経営者は効率が悪いことのみで従業員を評価せず、「責任感」も重要と考えて評価したいといっているわけです。

最近は「時間当たりの労働生産性」がクローズアップされています。そのこと自体は重要な要素ではありますが、「時間当たりの労働生産性」のみで従業員の評価をすべきではないのではないでしょうか。人事評価は効率面、責任感、成果の質、仕事に対する姿勢など、様々なファクターで構成されており、それぞれの項目の発揮度や達成度を総合的にみて、その従業員を処遇するものです。

合わせて間違ってならないのは、残業が恒常的に発生している従業員を一括りにして「仕事の効率が悪い」と評価してしまうことです。もともと集中力が弱い場合や単に怠けているだけや残業代目当てで時間を必要以上に掛けてしまう人がいる一方で、苦手な業務や入社後や配属替え直後で慣れない業務を担当しているために、一定以上の時間が掛かってしまう人もいます。

前者の場合は評価が低くなることは当然ですが、後者の場合は「その仕事が性格的に苦手であること」や「初めての仕事で慣れていないこと」を踏まえて、評価にある程度の配慮が必要だと思います。大切なことは従業員ごとの残業の多さの背景を「見極める」ことだと思います。

見極めができると従業員個々の指導が変わってきます。すなわち、集中力が足りない人には集中できるように環境を整えることができますし、怠けている人には誠実に働くように強く改善を求めるべきです。また、苦手な業務に就いている人にはそれを克服できるように仕事の手順を教え、慣れない業務に就いている人には早く仕事を覚えることができるように助言をし、そして慣れるまで「見守る」ことも必要です。

いずれにしても、どのような従業員であれその人の状況に適した助言指導をすれば、業務効率は確実に改善されるはずです。そして単純に「効率が悪い=能力が低い」安易に評価することがないようにしてください。

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