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No.67話:経済が停滞している今こそ、人材育成に投資すべきではないですか。

経営者の方と面談をしていると「求人を出しても、思うように応募がこない。」というお悩みをよく伺います。コロナ感染防止のための非常事態宣言により飲食店などを中心に雇用調整がおこなわれるなど、「世の中には失業者が増えて、労働者が余っている。」というイメージがあるのですが、日本国内企業の多くは依然として「人手が不足している。」と感じているようです。

このような「コロナ禍により失業者が増えている一方で、多くの企業で人手が不足している。」という状態は、不況産業から好況産業への「労働移動」が円滑に進んでいないことを意味しています。すなわちこれは多くの人が職を失ったので求人に応募しようと思っても「自分ができる仕事の求人がない。」、あるいは企業側は求人をしているけれども、「求職者が求めるスキルや経験を有していないので採用できなかった。」という、いわゆる「ミスマッチ」が生じていることが考えられます。

もちろんのことながら企業側から見れば「誰でもいいから不足した人員数を補充したい。」という状態ではありません。「ボーダレス社会」の進展により、世界を相手にした競争を余儀なくされている企業にとっては「ビジネス英語が話せる。」「TOEIC○○点以上の語学力がある。」人材が必要とされます。また、生き残りをかけた新しい事業を企画立案、そして運営できる経験やスキルを有した人材を求める企業もあります。従いまして、「語学力がある。」「レアな技術を持っている。」など「欲しい人材像」を明確にして求人募集をしているということです。すなわち、コロナ禍にあっても業績が堅調な企業は有益な技能を持った「人材を奪い合う」状態となっています。

その一方で「だれでも従事できる」汎用性の高い仕事は正確に、そして迅速に処理できる機械やパソコンソフトへの置き換わりが進み激減しています。そのため、いわゆる「コモディティ人材」は低賃金でわずかな「仕事を奪い合う」状態にあります。

そこで政府や経済界はこのような「ミスマッチ」状態を解消し、好調で有望な産業に労働力が円滑に移動できるようにするために、「リカレント(一度退職して労働者が大学などで新しい知識や技術を学び直すこと)」や「リスキリング(企業が従業員を対象に新しい知識や技術の学び直しを実施すること)」を労働者や企業に対して推奨するようになりました。

では「リカレント」と「リスキリング」のどちらが重要であるかと言いますと、私は「リスキリング」がより重要であると思います。「リカレント」の場合は余程、労働者個人に「この知識を習得しよう。」という強い目的意識がなければ途中で挫折してしまい、新しい知識や技術の習得も上手くいかないのではと感じています。一方で「リスキリング」の場合は、企業側が自社にとって今後必要となる知識と技術が何かを明確に目論むことができ、計画性をもって従業員教育を企画することができますし、適正のある従業員を選択することもできますから、目的達成の可能性は高く投資効果も高くなります。

しかし、この「リスキリング」のお話を経営者にすると必ず「会社が高い費用をかけて再教育をおこなっても、その従業員がライバル企業に高賃金で転職されれば投資が無駄になってしまわないか。」というご意見をいただきます。確かにその可能性が全くないとは申しませんが、何もせずにこのまま手をこまねいていてもいいのでしょうか。数人の流出する従業員を恐れるあまり、新しい事業に挑戦するチャンスを見過ごすのですか。

何か新しいことに取り組むときは必ずリスクはつきものです。後で「あのときに『リスキリング』に取り組んでおけばこんなことにならなかったのに。」と悔やんでも、どうしようもありません。「リスクをとらないことこそ、最大のリスク」です。リスクの先にリターンがあることを信じて、取り組んでみてはいかがでしょうか。

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