『人事労務戦略』構築専門のコンサルタント 株式会社サムライズ

No.68話:人事労務の課題を「困っている。」と悩んでいるだけでいいのですか。

「従業員のことで今、どのようなことで悩んだり、困ったりしていますか。」と経営者にお聞きしますと、「採用してもすぐに若い人が辞めてしまう。」「中堅社員がいなくて将来の会社の担い手がいない。」「賃金が高くなりすぎて人件費負担が増加している。」「評価制度を見直したにもかかわらず、生産性向上に結び付いていない。」など、その会社によって抱える人事労務に関する課題は千差万別です。

会社は、従業員数といった「規模」、正規従業員と非正規従業員の雇用契約「形態」、製造業や小売業といった「業種」、扱うものが物品なのかサービスなのかといった「商材」、創業からの年数である「社歴」、長年の事業によって培われた「社風」、快適であるか、あるいは快適ではないといった「職場環境」など置かれた状況は様々です。

従業員の多い会社は社長と一般従業員との接点は従業員の少ない会社に比べると限られてきます。建設業であれば他の業種に比べると労災の事故発生率は高いでしょう。歴史の古い会社の場合は、往々にして上司に異議を言い出しにくい風土があったりします。社屋が老朽化していれば「狭い」「暑い」といった職場環境で働くことを余儀なくされるという問題があり、このように会社の状況により抱える課題も当然のことながら多様になるということです。

すなわち、同じ規模、同じ業種、同じような社歴であっても抱える課題が全く同じということはあり得ないということですから、課題が異なれば対応すべき人事労務の課題も変わってくることになります。重要なことは経営者が自分の会社の置かれている状況を踏まえて、どのような人事労務の課題があるかをできるだけ正確に把握し、整理しているかということです。

このように会社の人事労務に関する課題を整理していくことはとても重要なのですが、「今の我社の人事労務の課題はどのようなものか。その課題はいかなる事情を背景として生じているのか。」を正確に把握するだけではなく、原因や背景にまで落し込んで認識している経営者は非常に少ないように思います。

人事労務の課題を原因や背景と結び付けて認識していないと、当然のことながら対応策の立案はできませんが、それ以前に課題の認識すらできていない経営者もいます。これでは課題の解決にたどり着くことすら難しく、会社に対する従業員のフラストレーションは溜まる一方になります。

人事労務の課題が棚上げになった職場ははっきり申し上げて、従業員にとって「魅力のない」職場です。「この会社にいても自分のやりたい仕事はできないな。」「パワハラの酷いこの上司の下で仕事をしていれば、いずれうつ病になってしまう。」「毎日、この時間まで残業していたら健康を害してしまうな。」などと従業員が感じてしまえばどうなるでしょうか。おそらく「退職」を選択することになります。

必要な従業員数が確保できなければ、事業を縮小するか廃業せざるを得ない事態もあり得ます。どうかそんな深刻な事態になる前に今、職場で発生している課題に真正面で向き合うようにするべきではないでしょうか。

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