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No.70話:社会に意義のある事業に会社が取り組んでいることを従業員に伝えていますか。

仕事に「生きがい」や「働きがい」といった、いわゆる「エンゲージメント」が高い従業員は生産性も高く、大きな成果を残す傾向にあるようです。こういった「生きがい」や「働きがい」を感じている従業員が多い会社は当然、業績が好調であることは言うまでもありません。

一方で、従業員が「人生が面白くない。」と感じたり、「働いていても少しも楽しくない。」と感じる状況では、仕事の効率も悪く、取り返しのつかない間違いや事故を起こし会社に大きな損害を招きかねません。そういう意味で従業員には「生きがい」や「働きがい」を感じて業務に取り組んでもらえるようにすることは大切ですね。

では、従業員に「生きがい」や「働きがい」を感じてもらうには、どのようにすれば良いのでしょうか。まず、最初に経営者の方が考えることは「賃金を多く支払うこと」だと思います。確かに会社から高い賃金を提供してもらえれば、待遇面での従業員の満足は高くなります。しかし、一方では長時間労働が常態化して健康に不安を抱えるような状況で仕事をしていても、「生きがい」や「働きがい」を感じることは難しいのではないでしょうか。

また、満足できる賃金が支給され、時間外労働もほとんどない条件でも、職場の人間関係が殺伐としてケンカが絶えず、常に緊張した状態では働いていても楽しくはありませんよね。これらがクリアできて快適な状況で仕事ができたとしても、工場で有害な物質を河川に違法に排出するなど、事業の内容が実は「反社会的」なものであっては当然のことですが、「なんてひどい事をやっているのだろう。ウチの会社は。」と会社に誇りを持てなくなりますから、これでは「生きがい」や「働きがい」を感じることはできないと思います。

つまり、働く上での環境が一部だけ突出して良くても、逆に他の条件に大きな問題を抱えていては「生きがい」や「働きがい」を感じることは難しいということです。環境や条件がバランスよく提供されていることが大切であり、それによって従業員は「生きがい」や「働きがい」を実感できるのではないでしょうか。

さらには、自分の会社が社会に役立つ意義のある事業を行い、そのことによって世の中の人に喜ばれ、高い評価を受けていることを実感することにより、「生きがい」や「働きがい」をより強く意識でき、「もっとこの会社で挑戦してみよう。頑張っていこう。」という気持ちになるはずです。

人間というものは「承認欲求」が強い生き物です。他人から評価されることで高いモチベーションを創出します。そういう意味で「我社は○○の部門で、社会の発展に寄与している。」「○○という団体から○○賞を贈呈された。」というメッセージは従業員のモチベーションアップには有効です。

また、「我社は社会貢献活動を通じて2025年までに○○を達成します。」という社会的に意義のある目標を提示することも重要になります。すなわち、現在のみならず未来に向けて自分の会社が社会のためにいかなる事業に取り組んで、素晴らしい社会の実現にどんな貢献をしていくのかを従業員に示して、「生きがい」や「働きがい」につなげることも経営者の大切な役割ではないでしょうか。

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