『人事労務戦略』構築専門のコンサルタント 株式会社サムライズ

No.74話:労働時間の管理は会社が責任をもって行うべきです。

労働者の労働時間の管理・把握はだれがすべきでしょうか。「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定。以下「ガイドライン」)」の冒頭において、「使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する。」と使用者、すなわち会社に労働者の労働時間の管理・把握することを求めています。

管理の方法はICカード、タイムカードなどにより客観的な記録を推奨し、手書きの出勤簿のような労働者の自己申告による記録であっても、それが適切に行われているかの確認を使用者に求めています。なお、ガイドラインでは会社が労働時間の管理・把握すべき対象労働者から管理監督者とみなし労働時間制適用者は除外されていますが、労働安全衛生法第66条の8の3においては「労働安全衛生」の観点から、「高度プロフェッショナル制度」の対象者以外全ての労働者の労働時間の状況の把握を義務付けています。

さて、近年は労働者の自己判断により労働時間を自由に使ってもらおうという観点から、フレックスタイム制や裁量労働制などを導入する会社が増えてきています。また、昨年来のコロナ感染予防から積極的に在宅勤務を取り入れる会社も多くなってきました。このように労働時間の管理を労働者本人に委ねる方法自体は、労使双方にとって効率面を考えると良いことだと思います。

しかし、労働時間の自己管理は往々にして「オーバーワーク」を招きかねません。とりわけ日本人は時間を気にせずに働いてしまい、結果として「働き過ぎ」てしまう傾向にあります。これは今まで労働時間の管理を会社に依存していたために、労働者自身が労働時間の管理をすることに馴染んでいないことが原因の一つにあるようです。

特に在宅勤務の場合は自宅という生活の場で仕事が行われることから、労働時間の線引きが困難となり、「気がついたら深夜2時までパソコンで資料を作っていた。」ということが起こりがちです。つまり、ブレーキをかけることなく労働時間のアクセルを踏んだままとなってしまうということです。こうなれば当然、長時間労働を助長し、それにより健康を害してしまうことも考えられます。

労働時間の管理を労働者自身に委ねることは、長時間労働の温床になり健康障害を発生しかねないことから、前述の通り労働安全衛生法は「高度プロフェッショナル制度」対象者を除いて、労働者の労働時間の把握を義務付けているわけです。従いまして、会社は裁量労働制など労働時間の管理を本人にさせる場合であっても、労働時間の実態については責任をもって把握すべきです。特に在宅勤務などの目の届かない自宅で仕事をしている従業員の労働時間には注意を払い、適宜、実績を確認し必要があれば、休憩や休日を取らせるなど健康管理の面から指導を行うことが必要です。

大切な従業員が過労で倒れてからでは手遅れになります。くれぐれも労働時間の実績には細心の注意を行ってください。

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