『人事労務戦略』構築専門のコンサルタント 株式会社サムライズ

No.75話:労働者側からの視点も加味した人事戦略を組み立てていますか。

会社の経営者であれば、将来の社会情勢や経済環境を踏まえて5年後、あるいは10年後の会社を見据えて事業計画を立てているのではないでしょうか。当然のことながら事業計画の中には将来必要となる人材像を基本に、人材育成や評価制度の在り方などの人事戦略についても盛り込まれていると思います。

さて、事業計画の中の人事戦略ですから、会社側からの視点で組み立てられていると思います。確かにこれまではよかったのかもしれませんが、幾度かこのコラムで申し上げたように、これからは「雇用の流動化」がますます進展する時代が到来します。会社が労働者を選択して採用するというよりも、労働者が会社を選択して入社するようになるということを意識しておく必要があると思います。

従いまして、前述の通り人事戦略を組み立てる上で事業計画において「会社が求める人材像」をイメージするとともに、そういった人材に自分の会社を選んでもらうためにはどのような人材育成や評価制度を用意しておく必要があるかという視点に立って考える必要があるということです。すなわち、労働者側の視点も持って人事戦略を組み立てるということです。

そのためには現状の労働者の仕事に対する一般的な価値観や、経営者が「自分の会社に欲しい人材」の対象労働者に特有の価値観をよく知っておく必要があります。また、労働者も企業サイドの就業環境に高い関心を持っていますから、積極的に情報を収集するとともにSNSなどを通じて労働者間で共有しているということも忘れてはなりません。

このような昨今の実態を理解して適切な対応を講じていないと、労働者側の価値観やニーズに対して人事戦略にズレが生じ、残念ながらあなたの会社は労働者から選択してもらえないことになります。それどころかSNSを意識した対策を怠っていると彼らに「出会う」ことすらできないかもしれません。

いずれにしても、労働者の価値観のトレンドや職場に求める最低限のニーズを知っておくということは、今後の人材確保に極めて重要な要素となります。そして、彼らの価値観やニーズは時代とともに変化していますし、その速度は年々速くなっていますから、常にアップデートしなければならないということも忘れてはなりません。

以上のお話をしますと経営者から「ここまで会社が下手に出なければならないのか。」「労働者側の言いなりになれば人件費の高騰を招きかねない。」といったといった否定的なご意見もいただきますが、そういったご意見こそが昨今の労働者の価値観やニーズを理解していないことの表れだと思います。彼らがライフスタイルで大切にしていることや求めていることへの会社側の答えは、「おもねる。」ということではなく「尊重する。」ということだと思います。そのことさえ間違えなければ会社と労働者の関係は良好であり続けることができると思います。

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