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No.81話:「仕事の属人化」の先にあるリスクに気づいていますか。
2022.01.12
「この仕事は高度なので、Aさんにしか処理できない。」「この事案はこの業務に詳しいB君に指導を仰いで。」特定の仕事に通じている従業員がいると処理が正確かつ迅速になり、会社にとってはありがたい存在です。他の従業員にとっても安心して相談でき、業務処理を指導してもらえる頼れる存在です。
一方で、一定の範囲の業務が特定の従業員にしか処理できない、わからないという状態を「仕事の属人化」といいます。冒頭のように
仕事の正確性、迅速性から見れば確かに喜ぶべき状態ですが、見方を変えると実は会社組織としてはとてもリスキーです。
その理由としては、万が一特定業務のスペシャリストである彼らが病気やけがで急遽、長期で会社を休まざるを得なくなった場合には、たちまち職場に混乱が生じてしまうという危険性があるというもの。もちろん、事前に長期休業に入ることが分かっているのであれば、あらかじめ他の従業員への引継ぎである程度対処することは可能です。しかし、急な休業の場合は引き継ぎさえも難しいことになります。
急な休業でも会社との関係が続いていれば、入院中の彼らと連絡を取って問い合わせすることも可能ですが、他社に引き抜かれて急遽退職することや、不幸にも不慮のことで亡くなることもあり得ます。こうなると彼らが担当していた業務に関して連絡することも相談することも不可能になります。そのような事態におちいれば、
当然待ち受けているのは業務遂行の停滞であり、会社にとっては損失を招く事態となります。
また、別のリスクとしてスペシャリストである彼らの方が「自分たちがいなければ会社は困るだろう。」と気づき、そのことをもって会社に対して無理難題を要求してくる可能性があるということです。すなわち、「賃金や賞与をもっと上げて欲しい。」「仕事に集中できる職場環境を整えて欲しい。」「自由出勤に変えて欲しい。」といったものです。
もちろん受け入れ可能な要求であり、それによって会社が得る利益が大きければ承諾する選択でもよいのですが、要求は次第にエスカレートするのが世の常で、要求を唯々諾々と受け入れていると行き着く先は「横暴」と言わざるを得ないレベルに至ることも覚悟すべきです。
以上のような事態に至らないためにも「仕事の属人化」は一刻も早く解消するべきです。一人の従業員に業務が集中することは避けて、2人以上で担当させて一人が欠けても業務に支障を来さないように体制を整えることです。また、会社の規模によっては一つの業務に複数人担当させることが困難な場合は、「急な欠勤、退職」という不測の事態に備えて適宜、業務内容の共有化を図る時間を持つべきです。業務マニュアルを作成して「それを見ればある程度のことはできる。」状態にしておくことも必要です。
すなわち、「万が一、あなたが長期休業することがあっても業務に支障がないようにしているので、安心してください。」(意地悪な言い方かもしれませんが「あなたがいなくても業務は回るのでご心配なく。」)と言えるようにしておくことが大切です。くれぐれも急に転職を申し出る従業員に「余人をもって代えがたい存在なので、給料を上げるから残って欲しい。」と泣きつくような状況にならないようにしましょう。
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