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No.82話:事業の拡大には、人事労務部門の立上げが不可欠である理由。
2022.01.19
従業員の採用・退職、労務管理、人事評価などの人事労務は、企業にとって当然のことながら重要な経営課題であり、疎かにはできません。「モノ」と「カネ」と同列で経営者が中心となって取り組むべき課題です。
創業間もない時期など従業員数が少ない状態であれば、経営者が「ヒト」「モノ」「カネ」をバランスよく管理して会社を運営していけばいいですし十分可能ですが、従業員数が50人を超えてくると「ヒト」「モノ」「カネ」のすべてを同時に同じウエイトで指揮していくことがだんだん困難になってきます。
そして、その場合にウエイトが弱くなるのが「ヒト」、すなわち人事労務ということになります。しかし、正直申し上げて私はそれでよいと思っています。なぜなら経営者として優先すべきは「モノ」であり、「カネ」であると思っているからです。
もちろん人事労務は重要であり決して軽視してはいけませんから、条件としては経営者に変わって人事労務に責任をもって管理できる人材やチームを形成しておく必要があります。
経営者に代わって人事労務を担う人材やチームの役割は当然に重く、ただ人事実務を事務的に処理すればよいと考えさせてはいけません。経営者と同じように従業員がその能力を如何なく発揮できるように職場の環境を整え、賃金や処遇といった労働条件に関する要望に適切にこたえ、彼らの業績に対する貢献を適正に処遇に反映することに積極的に取り組んでもらわなければなりません。
そのためには単にジョブローテーションにより、一時的な巡り合わせで人事労務を担当する従業員で構成するというわけには行きません。
経営の根幹をなすわけですから人事労務に関する法律や知識に精通し、経験を豊富に有しているいわば「人事のプロ」というべき人材が求められます。
ただし、「人事のプロ」というべき人材が採用などで手配できれば良いですが、十分な人数を確保することが困難な場合はどうしても「育成」する他ありません。従いまして、ジョブローテーションを重視して人材が頻繁に入れ替わることは、人事労務の人材「育成」には馴染まないと思ってください。もちろん、人事労務に適した人材を発掘することを目的にジョブローテーションを行うことは必要です。
このようにして人事労務の組織を形成することで、経営者にとって重要な「ヒト」の管理に関する負担を軽減することが可能となります。そして、「モノ」と「カネ」に注力できる環境が出来上がっていきます。
ただし、間違ってはいけないのは「ヒト」に関する案件を、作り上げた人事労務部門に「丸投げ」することはしてはならないということです。冒頭に申し上げたように人事労務は企業経営にとって重要な課題であり、経営者が責任を持つ事項です。
従いまして、人事労務に関する最終的な決済は必ず経営者が行ってください。
そして、間違った判断をしないためにも責任者から適宜、人事労務に関する情報の報告をさせるようにしましょう。
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