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No.93話:ときには回り道をした方が解決するという理由とは。

人事実務に関するトラブルを解決するときに「難しい」と感じる要因のひとつに、一度、従業員との信頼関係が崩れてしまうと容易に元に戻らないということです。会社としては通常は雇用保険法といった法律に基づいて正しく対応しているのですが、繁忙期などで担当者の確認が疎かになり、人事手続の「間違い」や「対応の遅延」を生じることがあります。

そのことにより従業員が「給付漏れ」などの不利益を受けると、当然ながら会社に対して「何をやっているのだ」と不満を感じます。例えば産まれたばかりのお子さんの健康保険証の交付が遅れて、急病のとき病院の手続きに手間取ってしまうと従業員の立場としては、怒りを感じることもあると思います。

そのような心情になっている従業員に「会社はいつも丁寧に対応している。今回は手続きに手間取ってしまった。そういうときもあるだろう。何をいつまでも怒っているのだ。」と開き直る人事担当者もいますが、これは正しい対応とは思えません。何故なら従業員にとって会社の人事手続きは「完璧にできて当たり前」だからです。開き直っても信頼関係を回復させることにはならず、むしろ逆効果になります。

人間が行うことですから残念ながら「間違い」や「対応の遅延」などを避けることは不可能です。大切なことはその「後処理」です。すなわち従業員への真摯な謝罪であり、原因の説明、そして解決への対応や再発防止策の構築ということです。この繰り返しにより信頼関係を回復するしかないのです。

実際に人事手続きの漏れについて従業員から「ちゃんと法律どおりにできていないではないか。」と、クライアントの人事担当者がお叱りを受けたことがありました。そこで「この時点において、この確認ができていませんでした。」と回答すると、「どうして確認が漏れたのか。」といったように、こちらの返事に対して逐次、かぶせて質問してくる状況が続きました。

正直、当該人事担当者は度重なる質問に困惑していましたが、「ここは丁寧に対応しましょう。」とあえて助言させていただきました。おかげで時間は掛かりましたが最後はその従業員に「承知した。今後は気を付けてくれと。」と解決に応じていただくことができました。後日、その従業員が周囲の従業員に「ウチの人事、こちらが納得するまで丁寧に対応してくれた。評価したい。」と言っていたことを聞いて、時間を掛けて対応したことが正解であり、信頼を回復できたと実感することができました。

上記の事例は従業員に納得の域まで対応できたのですが、完全に納得していただけない場合でも、それ以後の人事手続きにおいて確実に対応をすることで徐々に信頼を回復するという方法もあります。すなわち、問題解決は必ずしも直線的に存在するとはかぎりません。ときに回り道をしたり、時間を掛けたりすることもあるということです。拙速は禁物です。肝に銘じたいと思います。

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