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No.94話:従業員の労働時間の「把握」と「管理」の違いとは。

平成29年1月20日に制定された「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(以下、「ガイドライン」)」おいて改めて確認するまでもなく、使用者には労働時間を適正に把握することを通じて、労働者の労働時間を管理しなければならないことは言うまでもありません。

「ガイドライン」には労働時間の「把握」にあたっての使用者が「講ずべき措置」のポイントが記載されています。確かにこれらの「講ずべき措置」を実施することで労働者の労働時間を正確に「把握」することは可能となります。しかしながら、あくまでもこれらによって得らえるのは労働時間の実態です。「営業課のAさんは時間外労働が25時間であったが、ガイドラインに基づいて検証したところ30時間でしたね。」という事実が確認できるにすぎません。問題は労働時間の実態「把握」のその先にある問題の検証と改善への対応につながるかということであり、「ガイドライン」の意図もここにあると思います。

しかし、残念ながら「ガイドライン」で謳っている「労働時間を適正に把握すること」が労働時間管理であると誤解されている使用者が多い様に思います。労働時間の実態を正確に「把握」し、不必要な時間外労働や休日労働を削減して労働時間効率の向上につなげるために、職場に、または労働者に「どのようにすれば業務遂行の方法を見直すことができるか」とアプローチをして初めて使用者の労働時間「管理」ということではないでしょうか。

一般に労働時間の「管理」でありがちなことは、驚くべき時間外労働の時間数を目の前にしても、職場に「時間効率を上げて、残業を減らすように。」というスローガンのような注意喚起に留まることです。ここには使用者としての具体的な解決方法はなく、現場に時間管理を「丸投げ」しているだけです。

決まった時間が来れば職場の電源が切れて、電灯も消灯しパソコンも使えなくなるという強硬手段に出る会社もありますが、根本原因が解決していないのであればガスバーナーの炎に水をかけているだけで、火を止めることはできません。元栓をとめることをしなければ意味がないのです。

職場での業務の工程の中身を調べ、「見直すべき工程はないか。」「取り止めた方がよい作業はないか。」「断るべき取引きはないか。」など、まさに生産性の向上に効果のある施策を全社一丸で考えていかなければ結果につながらないと思います。

労働時間の問題は従業員の健康、もしくは生命に係る重要事項です。「労働時間は正確に把握されるようになったが、労働時間は長いままだ。」では、何度も申し上げるように労働時間を「把握」しただけにすぎません。改善につながってこそ労働時間の「管理」と言えるのではないでしょうか。経営者として今一度、改めて労働時間を「管理」する意味を考えてみませんか。

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