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No.95話:就業規則に従業員に対する会社の権利を明記する意味とは。

以前にもお話ししましたが、従業員の労働条件を明記した就業規則は労務管理の根幹をなすものです。雇用契約上の賃金や休暇などの従業員の権利はもちろんのこと、勤務に服する時間(労働時間)や勤務中に守るべきことといった従業員の義務も就業規則には記載しています。

また会社が従業員に求める権利や従業員に対して行うべき義務も就業規則には記載されています。休憩や休日の取得、あるいは労働安全衛生の関する使用者の義務については、労働基準法などに基づいて記載することになっています。万が一、記載漏れや法律に反する内容の記述があっても従業員からの要請があれば、これらの法律に基づいて義務を履行しなければなりません。

一方で法律において保障されていない任意の会社の権利については、雇用契約や就業規則において明記していないと従業員に適用することができません。例えば関連会社への「出向」を従業員に命じたときに「出向について就業規則に明記していないし、今まで説明を受けたことがない。出向したくない。」と拒否された場合に、使用者は「一般に普通の会社で出向はあり得るでしょう。出向拒否は業務命令違反だ。ゆるされない。」と言えません。何故なら従業員が主張するように就業規則等に「出向」に関する使用者の命令権が記載されていないからです。

「出向」以外にも「人事異動」「時間外・休日労働」「懲戒」等は実は任意の権利になります。「労働契約に記載していなくても常識のことだ。」と思っていて、多くの使用者が任意の権利であることを意識していませんが、前述のとおりこれらの使用者の権利は就業規則等に明記していないと、権利の行使を認めてもらいことになります。つまり、これらの権利明記は労務管理上、非常に重要であるということです。

特に「懲戒」については使用者と従業員との私的な契約において、使用者が「懲戒」事由に該当する行為を行った従業員を一方的に「懲らしめ、制裁を加える。」わけですから、雇用契約、就業規則において「懲戒」に関する事項を明記して権利を主張することが過去の判例でも強く求められています。

ついつい一般的な権利を私たちは「当然にある。」ものと思い込み、労務管理において既に「機能している。」と信じてしまいがちですが、これまでお話ししたように契約上の「任意の権利」は明記していないと主張できませんから、必要な権利は就業規則等に記述することは不可欠です。

そして、就業規則は従業員が自由に閲覧できるように「周知」していないと、法律上の効力を持ちませんから、就業規則の「周知」を徹底して労務管理において大切な「会社の権利」を機能させることをくれぐれもお忘れない様にしてください。

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