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No.96話:雇用契約にもとづき、会社が労働者に対して求めるものとは何か。

ご存知の通りウクライナ侵攻により、ロシアが「西側」とよばれる自由主義の各国から経済制裁を受けています。これによりロシア国債が近く「デフォルト」し、それによりロシア経済が破綻すると言われています。「デフォルト」とは「債務不履行」であり、「契約の取り決めを守っていない。(だから、契約を破棄する。)」ということを意味しています。さて、この「債務不履行」は雇用契約関係においても当然、起こり得ます。

雇用契約においての「債務不履行」とは、使用者(会社)が雇用契約に定めたとおりに「賃金を支払わない。」「時間外労働がないと言っていたが、時間外労働を命じられる。」あるいは「生命に関わる危険な労働環境下で仕事をさせられる。」といったものが該当します。このような「債務不履行」状態について改善を求めても解決しない場合は、労働者は即時に雇用契約を解除して良いということになっています。

事例のように通常「債務不履行」は使用者側によるケースがイメージされますが、当然ながら労働者側による「債務不履行」もあり得ます。例えば雇用契約に定めた始業時間に出勤しなかったり、あるいは勤務時間中に職場を離れてサボタージュするといったことは「契約の取り決めを守っていない。」ということになり、注意指導をしても改まらない場合、会社側も雇用契約を解除(解雇)することができます。

すなわち労使双方に雇用契約に取り決めたことを「誠実」に履行することが求められているということです。従って労働者だからといって、「いい加減に業務を遂行していても雇用関係が守られる。」ということではありません。使用者として労働者に対して毅然として「誠実」に職務を遂行することを求めるべきです。

ただし、「誠実」に仕事をしているか否かの判断が難しい場面があります。「無断欠勤」や「遅刻・早退」は明らかに「誠実」に仕事をしていないと主張できますが、「成果が出ていない。」「業務遂行能力が乏しい。」といったことは労働者のみならず、第三者が見ても判断が難しいことになります。また、その原因が使用者の教育指導の拙さに起因することもありますから、責任のすべてを労働者に求めることができない場合もあります。

一方で十分な教育指導を長期間において施したものの結果が出ないことをもってしても、「誠実に仕事をしていなかった。」とは容易に判断できないことがあり、この場合は「解雇」は厳しすぎるということになります。しかしながら、飛び込み営業が初めてであっても、半年後には最低でも月に15件は訪問実績を上げている新入社員が過去にいるにも関わらず、その半分程度の実績しか残せていない場合はどうでしょう。「おかしい。」と感じて調査をした結果、どうも日中は訪問活動を怠っていたことがわかり、注意しても改まらなければさすがにこれは「誠実」とは言えませんから「解雇」とすることはやむを得ないと思います。

いずれにしましても、雇用契約上の義務は使用者ばかりが求められるものではありませんから、契約の当事者として使用者は労働者に対して正々堂々と義務の履行を求めるべきだと思います。

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