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No.110話:仕事が「属人的」な職場がリスキーである理由とは。
2022.08.03
「この仕事はAさんに任せておけば、滞りなく完璧に仕上げてくれる。」「Bさんは大得意先のX社の社長に信頼されているから、担当を替えるわけにはいかない。」「この業務についてはCさんがスペシャリストなので、わからないことがあれば聞いてみればいいよ。」以上のAさん、Bさん、Cさんは会社にとっては宝物のような人材ではないでしょうか。できれば「いつまでも会社で同じ業務を続けて欲しい。」と考えていることと思います。
また、このような会社にとって貴重な人材は人格的にも優れている方が多いですから、同僚からも頼りにされ、そして尊敬されているとおもいます。その人がいるだけで業務が円滑に進み、経営者も安心して仕事を任せられる便利な存在でもあります。本人たちも「慣れ親しんだ会社でいつまでもこの仕事を続けたい。」と希望していると思います。
このような「ベストな状態」は願ったりかなったりで私も否定しません。間違いなくその状態が続くのであればなのですが。残念ながら「ベストな状態」が永遠に続くことはありません。「定年再雇用でいつまでも会社に残ってください。」と会社が思っていても、ご本人の体力、気力が続かずいずれは退職を選択すると思います。この場合は本人の希望する退職日に向けて業務の引継ぎが十分可能です。しかし、本人の病気の発症や親の介護などの事情で急に退職を申し出てくる場合はそうもいきません。
「今、急に君に辞められても困る。」という会社の事情を理解することはできますが、本人にとっては「どうしようもない。」事態にあるわけですから状況が変わることはありません。
「いつまでも我社にいてくれるもの。」と一方的に思い込み、万が一、その人が退職した場合の業務の混乱を想定して、準備していなかった会社に問題があると言わざるを得ないです。
業務を特定の従業員に集中させて、その人にしかその業務を処理できない状態にしていることを仕事の「属人化」といいます。「属人化」は担当業務の専門性を高め、また質の高い仕事の成果が期待できるようになるため、会社としては好んで「属人化」を進めてしまいます。しかし、仕事の「属人化」は前述のようにその従業員が万が一、何らかの事情で会社にいなくなってしまうと、仕事の進行がストップしゼロからのやり直しになりかねません。これは会社にとって大きなリスクです。
そうならないためにも、「一つの仕事を一人の従業員に担当させず、複数の従業員で担当させる。」あるいは「ジョブローテーションを心掛け、数年ごとに必ず担当替えを行う。」などに取り組むことが必要ではないでしょうか。
人数が限られている小さな会社では「難しい」と感じるかもしれませんが、「属人化=リスキー」と認識してその人が病気で休んでも仕事が停滞しないように日頃から業務の共有化を図るなどを心掛けてください。
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