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No.114話:手は動かさなくても、経営者の目が行き届く仕組みを作りましょう。
2022.08.31
従業員数が数名程度の会社はさておき、ある程度の従業員数の規模の会社ともなると人事実務や経理実務については、担当する従業員が経営者に代わって行っていると思います。当然のことですが体が一つしかなく、時間も限られている経営者が会社経営に関わることのすべてをこなすことは物理的に不可能です。
経営者は限られた肉体的資本を優先すべき経営課題に充てるべきです。故に人材を雇用して、彼らに人事実務や経理実務に従事してもらうということになります。
しかし、ここで経営者が忘れてならないことは自ら行うべき人事実務や経理実務を従業員に委任しているだけだということです。(もちろん、雇用する従業員の全ての仕事が経営者から委任されているのですが。)すなわち実務に直接着手していないだけで、責任は経営者にあるということです。
単に実務が「手離れ」しただけで、業務の本質としては経営者が行っているということに変わりはないのです。したがって、任せている仕事にミスや漏れ、あるいは処理の遅れが発生しない仕組みを作っておかないと本当の意味で業務を委任していることにはならないと思います。
しかしながら、多くの仕事を抱える経営者は図らずも実務担当者に業務を「丸投げ」してしまっています。正しく業務が機能していれば、仕組みが適切に動いているということであり問題はありません。一方でミスや漏れなどが生じ、そのことを経営者が事態が深刻な状態になるまで知らなかったということは仕組みが機能しておらず、「無責任な丸投げ」と非難されても仕方がありません。
特に人事の仕事は労働者の生活に直結します。長時間労働という実績があるにもかかわらず単に人事担当者が正確に時間外処理をしているだけでは、本来の意味での「時間管理」をしていることになりません。長時間労働を改善せずに労働者が過労で倒れるような事態にいたるまで放置しているようでは経営者の責任であるといわれても仕方がありません。
委任している仕事の本質が何かをしっかりと理解させるためにも、何が人事実務において大切なのかを担当者に伝えることです。
仕事の本質を揺るがせるようなリスクが予見できるのであれば、担当者に状況を報告させ、速やかに取るべき対応策を提案できるようにしてこそ、経営者の「目が行き届いている。」ということになります。
「まさか、このような事態に至っているとは全く知らなかった。」ということにならないように、まずは「どうすれば現場から必要な情報がタイムリーに届くか。」を考えて、現場と話し合って必要な対策を講じるようにしましょう。
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