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No.119話:従業員との「適度な距離感」をお忘れなく。

「経営者として従業員の目線で、労働条件の向上、労働環境の改善を行いたい。」というお気持ちは非常に大切だと思います。日々、業務に真面目に従事している従業員を目の前にすれば当然、そういう思いが湧きたつと思います。そして、実際に経営者のほとんどが「少しでも」という気持ちで、賃金の引き上げなどの労働条件の向上に取り組んでいます。

その思いの強さゆえに経営者の中には「改善して欲しい労働条件は何か」といった、従業員の要望を個別面談やアンケートなどを通じて収集する方もいます。「できるだけ要望に応えたい。」というお考えは良いのですが、中にはその思いが高じて「そこまでしなくてもいいのでは」と思いたくなるような事例も散見され、「必要な範囲を逸脱しているなあ。」と感じることがあります。

過去に「ちょっと特別対応しすぎでは。」と感じ、ご助言した経営者から「だって、配偶者と離婚して小さな子供を一人で育てなくてはいけないのですよ。それでも一生懸命毎日働いてくれているのですから、家族手当を特例で増額して応援してあげたいじゃないですか。」と私の忠告に不満を口にされたことがありました。確かにお気持ちは理解できますが感情移入のしすぎではないかと思いました。

あるいは「有能な社員がいて親の介護が必要となり、退職して郷里で面倒を見たいと言い出した。退職して欲しくないのでテレワークで郷里での勤務を認めようと思うのだか。」との相談を受けたので、「では、他の従業員で同様のケースの場合があれば、認めるのですね。」と確認したところ「いや、その人だけの特例だ。」と。テレワークを認めるか否かの判断基準が公平公正であればまだしも、いささか恣意的だったので「それはやめしょう。」とご忠告したこともあります。

冒頭に申し上げたとおり、経営者として「従業員に想いを寄せる。」ことは大切なことですが、その思いが過ぎて従業員の個別の事情に感情移入してしまうのはいかがなものでしょうか。忘れてはならないのは「経営者と従業員は立場が違う。」ということです。経営者の立場を踏まえた中で従業員と「近からず。遠からず。」の適度な距離を持つことがポイントだと思います。

経営者が従業員からの人気を気にしてその距離感を見失うと、従業員が「ウチの社長はお願いすれば、何でも受けいれてくれる。」と誤解をして、それこそ「あれもこれも。ここまで欲しい。」という事態も招きかねません。何より忘れてならないことは「経営者は会社の経営が持続していくことを優先して考える。」ことです。従業員の要望に応えすぎて、その挙句に会社を潰しては本末転倒です。それにより、不幸になるのは経営者だけではなく、大切な従業員もということをお忘れなく。

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