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No.120話:ハラスメントのグレーゾーンとは何か。
2022.10.12
「『髪を切ったの?ショートカット、かわいいよ。似合っているよ。』と褒めただけなのに、セクハラといわれた。」「育児休業を申請してきた従業員に『わかった。でも職場が大変だ。困ったな。』とつい口にしただけでマタハラと人事に相談され、注意を受けた。」「再三、遅刻をする従業員に『何回目だ!みんなに迷惑が掛かるが分からないのか。』と大きな声で注意したところ、会社からパワハラと指摘された。」
上記はハラスメントに関する研修を行うと参加者からいただく体験談の一部ですが、指摘された(注意された)従業員としては「え?それがハラスメントなの?」という感想を持っているようであり、納得がいかないと感じているようです。
確かに冒頭の事案だけをもってハラスメントと断定することはできませんが、言われた従業員は不快に思ったり、「育休がとりにくい」と感じたり、上司の言葉に威圧感を感じたりしたためにハラスメントを申告したわけですから、会社としてはハラスメントを受けた従業員の救済のためと、深刻なハラスメントへのエスカレートの予防ために、「加害」側とされる従業員に注意指導することは当然です。
実は職場のハラスメント事案のほとんどはハラスメントとは言えないが、注意すべき言動である「グレーゾーン」の状態が多いのです。
従って、注意指導の仕方も気を付けておかないと「この言葉のどこがハラスメントなのですか。」と疑問を突き付けられ、「加害」側とされる従業員とトラブルに発展しかねません。
このようなトラブルを回避するためにも、ハラスメントには「グレーゾーン」があることをしっかりと従業員に認識していただき、より具体的に「グレーゾーン」としてどのようなものがあるかを知っていただく必要があります。そのことによって言動をする側が「今のはグレーゾーンだったかもしれない。今後は注意しなければ。」と「グレーゾーン」の言動を控えるようになります。また、言動を受ける側も「ハラスメントではないが、先ほどの言葉はグレーゾーンと思うので会社に相談はしておこう。」とエスカレートする前に会社に相談はできるようになると思います。
もちろん「グレーゾーンだから、それに類する言動は許される。」ということではありません。
無意識に発するハラスメントの「グレーゾーン」にあたる言動をお互いに注意しあって、早期に「グレーゾーン」を含めたハラスメントに該当する言動をしないことが望ましいと思います。
ハラスメントは「被害」従業員、「加害」従業員、同僚、そして会社のどの方面にとっても悪影響しか生じません。「働きがい」のある会社を作るためにもハラスメントのない職場環境が不可欠です。その第一歩としてハラスメントの「グレーゾーン」を従業員の中に浸透させるようにしましょう。
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