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No.121話:長時間労働の対策が「絵に描いた餅」にならないためには。
2022.10.19
深刻な人手不足ためにどうしても従業員一人一人に負荷が掛かり、結果として労働時間が増大している企業が増えています。経営者としては「何とかして従業員の負担を軽くしたい。」と思うのは当然であり、できる範囲で様々な取り組みを行っていると思います。小売店、飲食店であれば営業時間を短縮したり、店舗数を減らしたりといったことや、製造業であれば自社の受注を減らして、オーバーする案件は関係先に委託したりするといったことがその取り組みにあたります。
また、従業員には「ノー残業デー」を設定して超過時間の削減を意識づけるとともに、労働生産性の向上を求めることで長時間労働削減に取り組んでいる会社も多いと思います。いずれにしても限られた人員や時間で業務が完了させることで、従業員の負担軽減を目指していると思います。
しかしながら、一口に「効率を上げよう。」「時間当たりの生産性を向上しよう。」と決められた労働時間で仕事が終わるようにと会社に求められても、
実際には所定労働時間以外で顧客から問い合わせの連絡があったり、急なシステムダウンが起きて対応を余儀なくされたりと、従業員としてはイメージどおりに仕事が片付かない場面に遭遇することが多いのではないでしょうか。
また、「受注量を減らす。」ことにしても、受注量を減らしたことによって利益が残らなければ事業継続が難しくなり、容易に「踏み込んだレベル」での受注量の削減には至らないことが実態なのではないでしょうか。
そうなれば折角「こうすれば労働時間が削減できる。」と思って取り組んでも、想定した通り上手くいかず取り組みが頓挫しかねません。
そうならないためにも取引先や顧客に対しては「営業時間は10時から18時です。緊急の場合はこの電話番号にかけて下さい。」と案内しておく必要があります。また、実際に取引先や顧客から緊急の連絡があったり、重大なシステムダウンが生じた場合は当番を決めて、その日の当番メンバーが対応するといったルールを決めておくなどの工夫が必要です。
ダウンサイジングをしても事業継続が可能となるように、取引先や顧客に対して「値上げ交渉」することも求められます。「こちらも厳しい。値上げは応じられない。」という反応もあるかもしれませんが、全ての取引先や顧客が拒絶するとは限りません。何もしないより、アクションを起こさなければ状況は変わらないと思います。
長時間労働の削減取り組みは、ややもすると「独りよがり」に陥ってしまいます。従業員の理解、納得はもちろんのこと、関係先の理解、協力がなければ実現は難しいものです。可能な限り関係先を巻き込んで取り組むということが成否を分けると思います。そのことをどうぞお忘れなく。
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