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No.122話:人事制度を導入・見直しする目的は何ですか。
2022.10.26
人事制度の導入や見直しについてコンサルティングをさせていただくことがあります。その際に経営者の方に必ず確認させていただくことが、その会社にとっての人事制度の導入もしくは見直しの目的です。
近年は「同一労働同一賃金」の厳格化により、正規労働者と非正規労働者との仕事の中身を区別するために、その目的達成の手段として人事制度を整備する事業所が増えています。一方で「人事制度を導入する企業が増えているので、わが社も導入したい。」のような、人事制度を導入すること自体が目的化している事業所もあります。
さて、人事制度を導入もしくは見直す目的として多くの企業で認識していることは大きく二つではないかと思います。一つは「頑張っている人材、会社に貢献している人材に、より多く報いたい。」という、「貢献度に応じた処遇」です。そして、もう一つは「発揮して欲しい能力や成果を明確にして、従業員にとって何ができて、何がどの程度足りていないのかを認識させ成長を促す。」という「人材育成」です。
「貢献度に応じた処遇」と「人材育成」という目的以外にも、付随して様々な目的を上げられる事業所もありますが、概ねこの二つの目的を達成するために人事制度の導入もしくは見直しを行っています。
しかしながら、より大切なことはその先にある「会社にとって如何にプラスの影響を導くか。」という道筋を考えることです。
例えば「貢献度に応じた処遇」を行えば、当然従業員は「やりがい・働きがい」を感じて更に仕事に頑張り、多くの成果を生み出すと思います。しかし、その時に生み出された成果よりも処遇による人件費増が生じれば結果として、その事業所には「マイナス」でしかありません。
また、自身の能力に不足している部分を認識させて、改善につなげる「人材育成」のための人事制度であっても、育成された能力をふんだんに発揮できる仕事や機会を提供できないと、その事業所にとってより多くの成果創出につながることにならず「宝の持ち腐れ」となってしまいます。この場合はその従業員が育成された能力を活かそうと他社へ転職するという「人材流出」という「損失」ももたらすことになりかねません。
以上のように人事制度の導入もしくは見直しは、取り組むに越したことはありませんが、
そのことによって「従業員がどう変わっていくか。」にとどまらず、それによって「会社にどのような成果が生み出されるのか。」までのストーリーを描くことが大切です。
従業員が成長することはもちろんですが、人事制度の整備は会社の取り組みですから会社が良くならなければ意味がないということをしっかりと認識しましょう。
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