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No.124話:備えるからこそ、「有事」を回避できます。

会社を経営している以上、「顧客からの受注間違い」「取引先との契約上の行き違い」「自然災害による設備への被害」などの「不測の事態」に遭遇し、大きな損失を被ることがあります。当然のことながら経営者として、これらの「不測の事態」に備えるために損害保険に加入し、あるいは内部留保という形で一定の資金を蓄えるといった対策を講じていると思います。

さて、この「不測の事態」ですが通常はどんな企業でも、漠然とした状態で被害や損失を想定していることありません。例えば自然災害であれば「どの工場にどの程度の火災が発生し、機械や器具が滅失して、どの期間操業できない場合にどの程度の損害額が生じるか。」と具体的に損失の状況やレベルを想定して損害保険に加入するはずです。

また、想定される被害にもとづいて火災であれば消火装置の増設、あるいは浸水であればなど防護壁の設置や排水システムの構築といった被害回避の対応のために費用を投じます。予想を超えた「不測の事態」に遭遇するかもしれませんが、可能な限り事業運営に支障が出ないように対策を講じています。では、労務管理においてはいかがでしょうか。

労務管理における「不測の事態」にどれだけの対策を講じているでしょうか。確かに仕事中の事故による従業員の病気やケガというリスクには労災保険に加入することで対応は図られていると思います。しかし、労務管理上のリスクは労災に限るわけではなく、「長時間労働の常態化」「契約通りに働いてくれない従業員」「メンタルダウンによる長期間休業従業員の取扱い」なども、そのままにしてはおけない大きな問題です。

例えば「長時間労働の常態化」の場合、問題解消について会社が有効な対策を講じることが出来ずにいて、万が一従業員が「過労死」に至ればとんでもない金額の補償を遺族から請求されることになりかねません。そして、このことにより会社が社会的な信用を失うことになれば、関係先からの取引停止といった事業継続が不可能な状況に追い込まれることもあり得ます。

これほどのリスクが潜在的にあるにもかかわらず、残念ながら多くの企業では具体的な対策に取り組んでいないのが現状です。例えばパワハラの問題であれば、「当初は法的に義務付けられている防止措置に取り組んでいたものの、数年後には形骸化し窓口に相談に言っても状況を聴いてくれるだけで、解決に向けて具体的なアクションをしてくれない。」というものです。「リスク対策」とは「制度がいずれ形骸化」することまで想定して初めて「講じた。」と言えるのです。

すなわち、「年に1回で窓口担当者の相談対応研修会を開催する。」「2年に1回で管理職対象の研修会を開催する。」などにより、パワハラ防止措置の形骸化というリスクを回避し、「パワハラが職場で深刻な事態に発展する」という本来のリスクを防止することにつなげることまでが必要なのです。

リスクは発生したときに「いかに適切に対処するか。」が大切なのですが、できれば可能な限りリスクという「有事」の発生は事前に防止できる方がより多くの従業員のためになります。そして、会社にとっても事前防止の方が費用面からも事業運営上でもベストな結果につながります。「先手必勝」がリスク対策の基本であることを認識しましょう。

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