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No.126話:会社が「リスキリング」に取り組む目的は何ですか。

先日の臨時国会で労働者の「リスキリング」支援のために、5年間で1兆円を投じることについて岸田首相からの所信表明がありました。「リスキリング」は「学び直し」と表記されることが多いですが、「リ・スキリング」すなわち「スキルを身につけ直す」というほうがわかりやすいのではないかと個人的には思っています。

さて、この「リスキリング」ですが産業構造の変化が激しい現代社会において、「スタートアップ」と言われる成長が著しい企業や産業に、必要なスキルを備えた人材を労働市場が供給できるようにすることで、国内産業の活性化を図ることを目的としています。したがって金額の多寡は別として、「リスキリング」支援に国家予算が投じられることは至極まっとうな政策です。

一方、政府の取り組みはさておき、個々の企業においての「リスキリング」はどうあるべきでしょうか。以前にもコラムでお話ししましたが、企業が事業計画において成長が期待できる分野に、必要なスキルを備えた人材を育成するために、「リスキリング」に積極的に支援することは重要ですから必要な投資を行うべきと思います。

しかしながら、自社の事業計画とリンクしない分野のスキルの「学び直し」を企業が支援することには注意が必要と思います。なぜならば企業が労働者に対して行った「学び直し」の取り組みが、事業収益に直接的に貢献するかはとても疑わしいからです。企業にとって「虎の子」の費用と時間を掛けて労働者に身につけさせたスキルをもって転職されることもあり得るわけで、その場合は費用対効果が全くないという結末になります。

もちろん「労働者が自社以外の成長産業で、新しいスキルを活かしてくれれば本望だ。」という社会的な目的をもって行うのであれば、何も申し上げるつもりはありません。しかし、利潤を求めるのが企業活動である以上は、投じた費用に対するリターンが無ければ意味がないと思います。

とはいうものの自社の事業に関連しない分野であっても、労働者の「新しい知識や技術を身につけたい。」という意欲に応えてあげることは必要だと思います。「これからはこういう分野の資格が必要だよ。」とか「国からこういう『リスキリング』に関する支援制度があるよ。」という情報提供は行ってよいと思います。そのことをきっかけに「リスキリング」が進み、一部の労働者が転職を選択してしまうという結果が待っているかもしれませんが、彼らの行動を阻害することはどのみち不可能と思います。あくまでも事業計画と関係ない分野への「リスキリング」に、企業が費用を投じてまで積極的に関わる必要はないということです。

くれぐれも間違ってはならないのは自社の事業計画に関係するか否かに関係なく、「学び直す」主体はあくまでも労働者自身ということです。「会社のお膳立てがないと『リスキリング』できない。」「費用の支援がないと『リスキリング』できない。」と考えているのであれば、とんでもない思い違いです。「変わりたい。」と思うのであれば、労働者自らが行動しないと結果が伴わないということです。

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