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No.128話:シニアを大切にしない会社は、若い世代が定着しない理由とは。

経営者にとって近年、頭を抱える問題として「人材の確保が困難」があると思います。このコラムで何度もお話ししましたが「少子高齢化」の急速な進展により、労働力人口が減少していることから、どの業種においても深刻な人材不足に陥っています。そのため、各職場では簡便業務の機械化推進、高齢者や子育て中の女性の活用など、様々な取り組みが行われているわけです。

しかし、必要な人員を確保するには何よりも「今いる人材の流出を止めて、長期間在籍してもらうこと」が効果的であり、効率面においてもベストであると思います。人材が定着し流出が少なければ、採用数を拡大する必要はなく、採用にかかる費用負担や労力が軽減されるということです。要するに人材の定着率を100%に近づける努力をすることがポイントになります。ではどうすれば人材の定着率を高い水準で維持できるのでしょうか。

方法はいろいろありますが、まずは経営者が労働者側からみて「この会社に定年まで在籍したい」と思わせる労働環境を作るという考え方を持つことです。なお、ここでのポイントは「定年まで」というところです。賃金水準が高く、時間外労働も少なく、きれいで快適なオフィスという労働環境の提供は確かに重要です。しかし、ある年齢に達すると役職を外されたり、賃金が下がったり、平易な魅力のない仕事に従事させられているシニア世代の先輩を目の当たりにすれば、若い世代の人はどう思うでしょうか。きっと多くの若い世代の人は自分がシニアになる前に他の会社に転職してしまうと思います。

人間という生き物は自らの人生の将来像を、シニア世代に置き換えてイメージします。キラキラと輝いて50代60代を生きている先輩を見れば「自分も将来はあの人のように、この会社で50代60代を過ごしてみたい。」と思います。その反面で会社から不本意な取り扱いを受けているシニア世代を目の当たりにすれば、「この会社にいれば自分も同じような扱いを受けることになる。そうならないためには別の会社で働いた方が良いかもしれない。」と思うはずです。

つまり「若い世代に我社に長く勤務して欲しい。できれば定年まで働いて欲しい。」と願うのであれば、「我社にいれば、こんな充実したシニア世代を過ごせますよ。」を見せることが最も早道ということです。そして、ここでは「充実した」働かせ方が重要ということになります。それは、前述の高賃金と言った過剰な労働環境の提供ではありません。

よく年配の方とお話しさせていただくと「こんな高齢者でも世の中に役立っていると思われるのが最もうれしい。」という答えが返ってきます。まさにこれですね。シニア世代にとっては「今でも会社に必要とされている。後輩に頼りにされている。」と感じることが一番なのです。重要なことは賃金ではありません。ましてや「国の法律で65歳まで雇わないとダメだから仕方なく雇用を継続している。」という考え方で労働環境を提供しては、シニア世代が意欲をもって働くことは困難です。それは若い世代の雇用確保にも影響します。そろそろ考え方を変えるときが来ていると思ってください。

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