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No.131話:人事の仕事も「選択と集中」が必要である理由とは。
2022.12.28
いままでのコラムで何度かお話ししたと思いますが、少子高齢化により労働力人口は減少トレンドになっています。すなわち、規模の大小に関わらず企業の人材不足は慢性的な状態です。同時に若い人たちの価値観は大きく変容し「ワークライフバランス」への志向、そして働き方の多様化が進展しています。
このような中にあって企業の労務管理はこれまでのように画一的に行うことがとても難しくなってきました。すなわち「大卒一括採用」「年功序列」「終身雇用」はこの10年で急速に見直しが行われています。そこには「雇用形態の変更」「労働条件の不利益変更」「人事評価制度の見直し」あるいは「ジョブ型雇用の導入」などが介在します。
当然のことながら人事担当者が取り組む課題は複雑かつ広範囲にわたり、その業務量は格段に増えています。
しかしながら、人事担当者は新たな課題の他に労務管理上の基本的な給与計算、採用、時間管理といった多岐にわたる業務に携わる必要があり、前述のとおり人材不足の中、限られた人員で何でもこなすことは不可能です。
そのため本来、喫緊で取り組むべき「雇用形態の変更」などの、新しい時代に対応した労務管理の戦略構築がなおざりになってしまいがちです。
では、限られた人材で優先すべき業務に取り組むためにはどのように対処すべきか。それには「選択と集中」しかないと思います。
人事担当者が従来より取り組んでいた基本的な給与計算などの労務管理業務を「手放す」ことで、新しい本来取り組むべき業務に注力する体制にするということです。
まずは従来業務について「これは自社でやること」「外注してもいいこと」「業務ソフトで省力化できること」で整理してみてはいかがでしょうか。会社の事業の特殊性から中には「内製化」が好ましい労務管理業務があると思います。しかし、全てを「内製化」する必要はないのではないでしょうか。人材募集、給与計算処理、人事評価制度の構築、あるいは就業規則の見直し、作成は専門業者や専門家に外注した方が、専属の人事担当者の人件費より外注した方が安いですし、しかも業務処理が早くて正確だと思います。
一方で「採用の最終面談」、「公私で悩みを抱える従業員の心のケア」、「労使間、従業員同士のトラブルの対応」など、
自社の人事担当者でしか行い得ない業務に人材を充てるように環境を整えるべきと思います。
世の中の雇用環境や労働者の働き方が急速に変わってきている今、企業の労務管理の在り方も変えていかなくてはならないと思います。これまでの「当たり前」の労務管理を見直して、これからを見据えていくべきではないでしょうか。
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