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No.132話:「雇用の流動化」が加速する2023年の労務管理とは。

新しい年、2023年がスタートしました。1月4日の今日から仕事を開始する企業が多いのではないでしょうか。さて年頭に当たり私なりの2023年の労働環境についての予測と、それに対する企業の対応のあるべき姿についてお話ししたいと思います。

まず、今年の労働環境については一言でいいますと「雇用の流動化の加速」ということです。ご存知のとおり少子高齢社会により数年前より、労働力人口が減少トレンドに入っています。すなわち「人手不足」に陥るということです。この「人手不足」は人的集約産業である小売業や飲食店においては特に顕著であり深刻な状況です。

しかしながら、2020年初頭に端を発した「新型コロナウイルス感染症」により、「ゼロコロナ」政策として小売業、宿泊業、観光業や飲食店の営業自粛がおよそ2年間強いられ、これらの産業において一時的に「剰員」が生じる事態となりました。従いまして「人手不足」の状態が一旦解消された形となりました。

さて、2022年後半に国内において緩やかですが「ウィズ・コロナ」政策に舵が切られ、小売業等の営業自粛が解除されました。これは再びこれらの事業においてスタッフが必要となる状況となることを意味しています。2023年においては欧米並みに「ウィズ・コロナ」政策が進むことから、小売業等の活動がさらに活発化することから、コロナ前のように深刻な「人手不足」状態になることが予測されます。

一方、2022年のロシアによる「ウクライナ侵攻」から生じた世界的な資源高と、それによる物価高により経済へのダメージが大きくなっています。日本国内においては欧米の物価高対策としての「緊縮財政」により、ドル円レートが一時的に急激な「円安」となりました。これにより好不調が産業間で別れるとともに、製造業においては昨年後半より生産拠点を海外から国内に戻す動きが出ており、本年においては好調産業や製造業もまた「人手不足」となってきます。

このような社会情勢はとりもなおさず、「産業間の労働力移動」が進展することを意味すると思います。労働市場で言うところの「売り手市場」、すなわち「労働者優位市場」となります。このような状況下では労働者は、より良い条件の企業に転職を躊躇なく行うということです。

「賃金が高いし、残業も少ない。休日もしっかりとれる。」「職場が家から近い。在宅勤務も可能なので子育てや親の介護と両立できる。」「この職場ならストレスもなく働けそうだ。」等、労働者の「働く価値観」は21世紀に入ってから急速に変わっています。「お世話になった会社を自分の都合で転職するのは忍びない。」などで転職をためらう人は少なくなっていますから、雇用市場が「アフター・コロナ」によって解放されれば、あっという間に「雇用の流動化」は進展することは目に見えています。

では、企業はどうすべきか。「今の労働者の『働く価値観』を考えれば、転職するのを引きとどめることはできない。」と割り切るという考えは確かに必要です。しかし、敢えていえば「去る者は追わず」的な考えは持たないことです。ドライに「ああ、辞めるのだね。次のところで頑張ってね。」という対応ではなく、「去る者にすがりついてでも引きとどめる。」くらいの気持ちは持ってほしいものです。

それは何も「給料は望むままに支払う。休みも好きな時に取ってくれていい。」という無条件降伏ではありません。「思い直して欲しい。君に退職されては困る。」といった泣き落としのレベルです。何故そうするのか。「人材不足」の世の中では、一度退職されたら同じような人材を確保することが極めて困難な状態だからです。「泣き落としなんて、恥ずかしい。そんなことができるか。」と思うのであれば、そうならないように常日頃から労働者の「働く価値観」に気を配り、「ここなら居てもいいなあ」と思えるような職場環境を整えることです。

 

「長時間労働の常態化」「ハラスメントが横行する職場」「労働者の生活スタイルに対応できない雇用形態」といった旧態依然とした職場環境や労働条件を続けていると、本当に「泣き落とし」をしなければならなくなりますよ。そうならないために労働者が「この会社で働きつづけたい。」と思ってもらうには何をすべきかを考えてみましょう。

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