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No.136話:「安全への配慮」の意識をもっての労働者を働かせていますか。

「10年に一度の寒波」は日本各地で大きな被害をもたらしました。都市部でも公共交通機関の多くが「運休」となり、例年、積雪の被害の少ない私の住んでいる京阪神地区でも列車が停止し、乗客が10時間も車内にとどまらざるを得ない事態が発生しました。

 

この寒波の影響による公共交通機関の「運休」や道路の「通行止め」のため、当日会社に通勤できず休まざるを得ない労働者も多かったようです。そのため、その日の賃金の取扱いについての問合せをクライアント様から多数いただきました。幸いなことに今のところ「通勤中に滑って転んでケガをした。」という通勤災害の連絡はなく、ひと安心しているところです。

 

あるクライアント様からは「大事な従業員が通勤中にケガや事故に遭遇してはいけないと思い。『無理をせずに交通機関の状態によっては必要ならば休んでください。』と前日に通知しました。」とのお話を伺いましたが、実はエピソードはとても大切なことなのです。すなわち、このような事前通知ができるということは、使用者として「安全」に対する意識が高いということの裏返しでもあります。

 

ご存知の通り労働契約法第5条には「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」といういわゆる使用者による「安全配慮義務」を謳っています。「安全配慮義務」は何も会社や工場内での大きな労災事故の発生や、長時間労働やハラスメントによる健康障害の防止だけを対象にしているわけではありません。日々の通勤途上に対する安全への配慮も当然のことながら使用者に求められています。

 

今回のような大規模な自然災害が予測される事態を前に、「大きな受注を期日までに納品しないと会社の経営に支障が出る。製造を止めるわけにいかないので、あらゆる努力をして明日は必ず出勤して欲しい。」という会社もあったかもしれません。しかし、この要請をうけて従業員が無理に自動車で出勤し、スリップ事故を起こしてケガをすれば、使用者の「安全配慮義務」不履行を問われることになりかねません。

 

もちろん、事業存続を度外視して「無理でも操業を止めましょう。」とは言いません。しかし、日頃から従業員の「安全」を考えれば、危険を回避すべく「事前に近くの宿泊施設に泊まってもらう。」「寝具などを用意して会社に宿泊してもらう。」といった、操業も可能となる緊急対応などが考え出せると思います。

 

冒頭のクライアントの例のように何気ない声掛けではありますが、危険は身近に、そして突然やってきます。このような使用者の従業員に対する小さな「安全」への意識の積み重ねが、取り返しのつかない大きな事故の防止につながるのではないでしょうか。

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