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No.138話:不用意な一言で、築き上げた信頼が簡単に崩壊することがあります。

先日、あるクライアントで「こどもが出来ました。」と嬉しそうな表情で報告にきた女子従業員に、「えっ、本当に?困ったなあ。いつから産休取るのかな。いつまで働けそう?」と答えてしまい、その従業員の表情を曇らせてしまった社長の話を伺いました。

 

本来、「オメデタ」報告にきた従業員に「ああ、良かったね!おめでとう。」とお祝いの言葉を最初に言うべきであったにもかかわらず、ちょうどそのころ業績好調で業務量が増えて、かつ従業員の退職が続き人員不足で頭を痛めていた社長は迂闊にも「困る。迷惑だ。」とも受け取られかねない反応をしてしまったのです。

 

当然、通常の状態であれば従業員の慶事には、心の底からお祝いの言葉を伝えることが出来る方なのですが、「人が足りない。困ったなぁ。」という気持ちでいたために、心にもない不用意な言葉を発してしまったようです。悲しそうな表情をする従業員を目の当たりにして社長はすぐに「しまった!」と思ったようですが、「時すでに遅し」です。

 

後日、彼女が同僚に発していた言葉が「社長があんな人だとは思っていなかった。」「育児休業が欲しいといったら、何を言われるかわからないから出産と同時に退職しようかな。」と聞き、社長は慌てて本人に謝罪したそうです。しかし、一度壊れた信頼関係は中々修復できないものです。「彼女はそれまでは会社の仕事に協力的で期待した以上の仕事をしてくれたのですが、それ以降は必要以上の仕事をしてくれなくなったように思う。」とその後の従業員の行動を社長は語っています。

 

深い信頼関係にあると互いの協力的な行動が「当然」のごとく思え、また永遠に続くものと信じ込んでしまいます。しかし、その信頼関係は「砂上の楼閣」でしかなく、些細な出来事や不用意な一言で簡単に壊れてしまうものであると知るべきです。であるからこそ一度、信頼関係が壊れてしまうと容易には修復できません。また、信頼関係が壊れたことで「非協力的」とはいわないまでも、「よそよそしい」行動をとられてしまい「やりにくいなぁ」とストレスを感じながら、仕事を続けなければならなくなります。これは、どうにも使用者にも労働者にもマイナスでしかありません。

 

そうならないために何よりも信頼関係を「当たり前」のものと思わず、壊れやすいものと思って大切に育んでいくことが大切です。そして、万が一に信頼関係を傷つけてしまったら関係修復に努力することです。信頼関係の再構築の方法はひとつだけです。それは、どんな小さな簡単な約束でも確実に履行していくことの積み重ねです。「どんな約束も守る。」そうすることで、必ず信頼関係は築き直せます。どうか諦めずに信頼関係の回復の努力を続けてください。

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