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No.141話:「能力不足」を理由とした解雇は相当難しい理由とは。

「営業成績が長年、最下位のまま」「いつまでたっても業務ソフトを使いこなせない。」「入力ミス、点検漏れの回数が多くて改善されない。」採用時にしっかりと面接し、能力試験や適性検査を実施した上で雇用したにもかかわらず、期待した成績や成果を大きく下回る従業員に関するご相談をいただきます。このような「ローパフォーマー」従業員の実態を伺った後のことばは、決まって「どうすれば辞めてもらえますかね。」です。

 

どこも人員不足のギリギリの状態で事業運営しているため、「ローパフォーマー」従業員が達成できない成果や残してしまった業務を他の従業員が負担せざるを得ないのが実情です。当然、従業員からは「社長、〇〇さんをどうにかしてください。」と不満をぶつけられます。生産性の向上という観点からも、経営者としての「ローパフォーマー」従業員を早く辞めさせて、代わりの人材を雇用したいというお気持ちは「ごもっとも」と思います。

 

しかしながら「能力が劣る。足りない。」という理由では、会社はそう簡単には雇用契約を解除(すなわち「解雇」)できません。特別な条件(「1.5倍の営業実績の実現のために雇用した営業部長」「採用人数50名達成のための人事部長」など)をもって雇用した場合ではなく、「総合職として新卒採用」した場合は特に難しいと思います。

 

何故ならば「1.5倍の営業実績の実現」や「採用人数50名達成」などは、雇用契約上の「採用条件」であり、それが実現できなければ「債務不履行」が問われ「契約解除」が論理的に成り立つからです。一方で「総合職として採用」あるいは「将来の幹部候補として採用」などは、今後の「能力育成」を期待して雇用契約を締結しています。「能力育成」はもちろん本人の努力によるものですが、「新卒」「第二新卒」といった若年層については、採用した会社に主体的かつ積極的な「能力育成」が求められます。

 

したがって、「採用後数年の内に期待した能力を発揮できなかったから」という理由で雇用契約を解除しても、会社側が行うべき積極的な「能力育成」の取り組みが不足している場合は、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」とみなされる可能性が高くなります。

 

では、どの程度の「能力育成」が会社側に求められるかということですが、これについては年数や教育研修の時間といった具体的な指標はありません。あえて言えば第三者が見て「これだけ指導教育を受けても、この勤続年数でこの程度の成果しか残せないのであれば、本人の努力が足りていないと言わざるを得ない。会社として雇用契約を解除するのも無理はない。」と思うような内容が必要ということです。しかし、これは相当ハードルが高いと思います。したがって、一般従業員を「能力不足」を理由で解雇することはとても難しいのです。

 

では、「どうするか」ですが、「ローパフォーマー」従業員にはまずもって、会社が諦めずに継続して教育訓練を施し「能力育成」を図るようにしてください。それによって「能力育成」に繋がれは労使双方にはいいことではないでしょうか。継続した教育訓練をもってしても「能力育成」の見込みがない場合は、その会社やその仕事との「相性が悪い」ということが考えられます。その場合は、当該従業員とよく話し合い「他の会社で、他の仕事をした方があなたの能力が発揮できるかもしれないのでは」と転職を進めてあげてみてはいかがでしょうか。解雇という方法を取らずとも、建設的な解決方法はいろいろとあるものですよ。

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