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No.154話:会社が責任をもって労働者を指揮命令しなければなりません。

労働者は会社での就業時間中、使用者の指揮命令下にあります。「労働者は会社の支配下にある」という少々お堅い言い方もありますが、使用者(あるいは指揮命令権を委任された管理監督者)の指示命令を受けて、そして会社のルールを守って労働者は業務に従事することになります。

すなわち「私は『朝型』なので、9時の始業時間よりも早く7時から働くと効率が良く、そのように働きます。その代わり2時間早く退社します。」ということは、フレックスタイム制がある会社であれば別ですが、許可を得ずにはできません。あるいは「明日は退社後に食事会があるので、今日中に仕事を完了したい。だから頑張って3時間ほど残って仕事をします。」といった自分勝手な時間外労働の実施も許されるわけがありません。

また、在宅勤務やテレワークが認められていないにも関わらず、「家で仕事をするほうが集中できて、質の高い成果を生み出せます。」と在宅勤務を選択することもできません。労働者は決められたルールのもとに仕事をしなければならず、「自由に」かつ「好き勝手に」仕事をするということはできないのです。「成果が残せる。効率が良い。」というのであれば、事情を説明して会社の許可を得てから、時差出勤なり、残業なり、テレワークをするというのが働く上での基本的なルールです。

実はこの基本的なことが労働者のみならず、使用者側にも理解されていない方が多いように思います。「労働者には自由に、思う存分に自らの裁量で働いて欲しい。」というお考えは素晴らしいと思います。しかし、あくまでも会社のルールを守った上での話になります。基本的なルールを度外視して労働者に「自由気ままに」仕事をさせてはならないと思います。

「残業をするのであれば、就業規則の服務規律のとおり事前に許可を得てからにしなさいと説明しているにもかかわらず、度々無許可で残業して翌日に事後報告する従業員がいるがどうすればいいのでしょうか。」先日も、このような相談をいただきました。発生した残業については時間外勤務手当を支払わざるを得ませんが、会社のルール(服務規律)を守っていないことも事実ですから、服務規律違反で「懲戒処分」も検討するように提案しました。

「厳しくはないですか」というご意見もいただきましたが、会社のルールを守らない従業員を野放しにすることは「秩序維持」の観点からも許していいとは思えません。「蟻の一穴」ではありませんが、安易なルール違反を見過ごすことは会社の人事管理の崩壊につながりかねないと思います。労働者に会社のルールを守って仕事させて初めて、チームワークが良く、生産性の高い仕事につながるのではないでしょうか。

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