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No.155話:「最近の若い者は」は5000年の歴史です。
2023.06.14
年長者に対して基本的な礼儀や言葉遣いができていない人や、会社の繁忙期にも関係なく有給休暇を申請してくる人に遭遇すると、口には出さなくても心の中で「最近の若い奴はなっとらん。自分たちの若いころは・・」とつぶやいているのではないでしょうか。そして、若かりし頃の厳しかった上司に思いをはせ、生き生きと働いている自分の姿を懐かしく思い起こしていませんか。
しかし、その「厳しかった上司」も当時、恐らくは皆さんに「最近の若い奴はなっとらん。自分たちの若いころは・・」とつぶやいていたのではないでしょうか。
この「最近の若い奴は」というフレーズですが、何も新しい言葉ではありません。
古代エジプトの遺跡にも刻まれている言葉なのです。日本でも平安時代の「枕草子」や鎌倉時代の「徒然草」にも似たような言葉があるそうです。すなわち、5000年前からある普遍の年長者のボヤキということになります。
どの時代も人生経験を重ねた年長者は経験の浅い若者に不満を感じ、あたかも自分が若いころから今のような言葉遣いや身のこなし、社会性をもった人間力あふれる人物であると錯覚しているだけのように思います。客観的に見れば年長者の若いころも今の若い人と同じように本質的には「未熟」であったということではないでしょうか。
ただし、「未熟」な人がそのままであるはずはなく、やがて皆さんと同じように誰しも様々な「うれしい経験」や「苦い経験」を経て成熟していくということになります。
その成長の担い手は皆さんのような年長者であることは間違いありません。「自分たちと全く考え方が違うから、指導教育したくない。」は逃げ口上ですよ。およそ80年前にも日本海軍の山本五十六がこんな言葉を残しています。
「やってみせ、言って聞かせてさせてみせ、ほめてやらねば人は動かじ。話し合い、耳を傾け承認し、任せてやらねば人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば人は実らず。」
もちろん、育った環境や時代背景が違うのですから価値観や人生観は異なっていて当然です。従って、自分とは違う彼らの価値観や人生観を「理解」することは土台無理なはなしなので、「敵を知り、己を知らば百戦危うからず」という言葉のとおり、
良好な人間関係を構築するには、「彼らはどうもこういう価値観や人生観を持っているようだ。」という「知る」程度で十分だと思います。
いずれにしましても、「未熟」な若い人を目の前にしたときに年長者はすることは「最近の若い奴は」とボヤくだけで終わってはいけないということです。
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