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No.156話:職場の「ハラスメント」は会社にとっても大損害となります。
2023.06.21
私の昔話ですが、風邪をひいて熱があるにもかかわらず、「最繁忙期だから休んではいけない。」と思い無理をして出勤したところ、先輩社員から「あなたの風邪が職場の仲間にうつったらどうするのか。熱が出れば4、5日寝込むこともある。他人に暴力を振るってケガをさせることと同じくらいのダメージを与える。風邪を押して出勤するということはそれくらい罪が重い行為だ。」と大変怒られて、直ちに家に帰らされたことがあります。
さて近年、職場での「いやがらせ、いじめ」いわゆる「ハラスメント」が問題となっています。特に職場での「セクシャルハラスメント」「パワーハラスメント」「マタニティハラスメント」はその防止のため、政府は使用者に対して就業規則における罰則の整備や職場での周知徹底を法律で義務付けるようになりました。ではなぜ、職場の「ハラスメント」が社会問題化したのでしょうか。
労働者は職場で上司や先輩といった「優越的地位」にある同僚から、過度な「ハラスメント」を受けることで「うつ病」「適応障害」などの深刻な「心の病」を発症させてしまうことがあります。
深刻な「心の病」は専門医の治療を必要とし重度の場合は長期間、会社を休まざるを得なくなることになります。冒頭の私の昔話での「4、5日寝込む」程度では済まず、他人から暴力を受ける以上のダメージを与えるということです。
また、「心の病」によって自ら命を絶つ人もいますから、暴力どころの話ではないということをまず理解しなければならないと思います。
職場の「ハラスメント」は労働者の心身に深刻なダメージを与え、社会にとって大きな損失が生じるという実態があるからこそ、政府もその防止に向けた法整備を行っているわけです。しかしながら、まだまだ使用者側に「労働者に深刻なダメージを与える」という意識が希薄であるように感じます。(もちろん深刻に受け止めて、対応策を講じている使用者もいますが。)
忘れていただきたくないことは、職場の「ハラスメント」は労働者(加害者も含め)のみならず、使用者にも深刻な損害を生じさせるということです。
人手不足の中にあって、被害を受けた労働者が休職すれば職場に欠員が生じます。事案によっては加害労働者に辞めていただかざるを得なくなります。「ハラスメント」が発生した職場の労働者のマインドは下がり生産性も下がります。退職者も増加しますし、SNSなどで「ハラスメントがあった会社」と情報が流れれば、求人を出しても求職者が現れなくなります。
このような事態が想定できるのですから、使用者側も安易に職場の「ハラスメント」を考えて良いわけがありません。「事業運営に重要な影響が出る」と危機感を持って対策を講じる問題であると認識していただきたいと思います。
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