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No.158話:「従業員はきっと理解しているはず。」という思い込みは要注意です。

「こんな小さな会社なんだから、退職金なんて支払えないことくらい、一々説明しなくても従業員は理解しているはず。」「基本給の中に残業代がふくまれていると従業員には説明済み。だから残業しても追加で残業代は支払わないことにしている。当然、従業員から請求されたことはない。」このようなことを口にする経営者が結構いらっしゃいます。残念ながら少々、都合の良い思い込みですね。

従業員は経営者のみなさん以上に、今の労働条件が法令に照らして正しいものなのかどうかをご存じない方が多いのです。ほとんどの従業員が「そういうものなんだ。」と疑問を持たずに働いているのです。経営者の方も「こういう働き方がこの業界での常識だ。」という固定概念で考えているようです。しかし、これはあまりにもリスキーです。

例えば、長年大変よく働いてくれた従業員が退職し独立する際に、「のれん分け」の意味合いで「退職金」を支払ったとします。その後、同じくらいの期間を働いていた別の従業員が「私も退職して独立したい。ついては同じように退職金を支払って欲しい。」と申し出てきた場合に、「もともと退職金がない会社ということは知っているだろう。君と彼とはこの会社の貢献度が全然違う。彼の退職金は特例だ。だから君には退職金を支払わない。」と答えるのはいかがでしょうか。

「退職金は支払わない」ことが従業員に周知され、特例での支払いの事例もなければこの経営者がいうように「退職金は支払わない」という対応で問題ありません。しかし、「退職金は支払わない」ことが周知されず、会社に貢献した従業員には「退職金を支払っている」のであれば、この従業員の申し出には一理があることになります。この主張が司法の場で認められれば会社はこの従業員に退職金を支払わなければなりません。

「会社は退職金を支払わない。しかし、貢献度の高い従業員には例外で支払うことがある」ということを経営者がいくら「この業界の常識だ。従業員も理解しているはずだ。」といったところで、従業員に事前に説明し理解させていなければ全く無意味になります。とりわけ賃金や賞与、退職金あるいは労働時間といった重要な労働条件については「いった。」「聞いていない。」で大きなトラブルになりますから、特に留意しておくことです。

前述のとおり、採用時には従業員は会社の労働条件に「そんなものなのかな。仕方ないな。」と思って働き始めます。しかし、インターネットで何でも調べることができる世の中になりました。「この自分の働き方はどうもおかしいのでは?」と疑問を感じたら、すぐに調べることができますし、「やっぱりおかしいようだ。」と気づくことができます。しかも正確に。

こうなってはもう経営者は従業員からの「法令通りにして欲しい。」という申し出に、「受け身」になるだけです。そうならないためにも経営者が先に「あるべき労働条件」に整えて、周知するほかありません。

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