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No.168話:労務トラブルは早期着手に限る理由とは。

「部下や後輩に対してパワハラを行っているようだ。」「虚偽の報告をして交通費を不正に取得している。」「営業と言いながら、外出中は喫茶店でサボっていて成績が悪い。」「職場の同僚と折り合いが悪く、口論が絶えない。」など、従業員を雇用していると少なからず、会社にとって頭の痛い問題が生じることがあります。頭が痛い問題だけに解決が「後回し」になることが多いのではないでしょうか。

確かに従業員との労務に関するトラブルは、相手が「人間」ですから複雑で手間がかかり、多くの時間を必要とします。それゆえに経営者が問題解決に取り組むことに躊躇してしまう、「後回し」にしてしまうお気持ちはよくわかります。しかし、「後回し」にしたところで事態が好転することはありません。むしろ事態の悪化や拡大につながりかねないのです。

例えば、冒頭の「部下や後輩に対してパワハラを行っているようだ。」の場合、放置していれば被害を受けている従業員がメンタルヘルス不調をきたす状態に至ることがありますし、職場の雰囲気が悪くなり従業員の生産性が著しく低下することもあり得ます。

また、「虚偽の報告をして交通費を不正に取得している。」ケースであれば、そのままにしている時間だけ会社には負担しなくてよい費用が生じることになります。「問題解決時に遡及して、本人に支払ってもらう。」という考えもありますが、その従業員が急に退職して行方をくらませれば費用の回収は困難になり、会社が損失を抱えることになります。

「外出中は喫茶店でサボっていて成績が悪い。」という従業員に対して、注意指導あるいは制裁を行わないでいると、その従業員の成績が正常に戻ることはありません。そればかりか、他の従業員が「なんだ、この会社はサボってもお咎めなしなのか。」と同様に真面目に営業活動を行わなくなることも考えられます。こうなれば会社の収益は下がるばかりです。

そして、「職場の同僚と折り合いが悪く、口論が絶えない。」ような従業員をそのままにしておけば、他の従業員がその会社で働く意欲をなくし、多くの優秀な人材が退職してしまいかねません。新しい従業員をその職場に配置しても、トラブルメーカーの従業員がいる限りは状態が改善することはなく、やがては「職場崩壊」を招くことも考えられます。

このような事態に至る前に従業員によるトラブルは早期に対応策に取り組み、早期に解決することが重要です。前述のとおり対応に躊躇した時間だけ、必ずより問題が複雑化し拡大し深刻化します。そして、解決までに膨大な時間を要してしまいます。そうならないためにも、早めにトラブルの状況を把握して、どれほど複雑な事案であっても立ち止まることなく、とにかくまずは対応に着手することに限ります。弁護士や社会保険労務士に相談することから始めてもいいのです。立ち止まって何もしないことが「下策」であることを肝に銘じてください。

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