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No.169話:ルール遵守の意識が緩すぎる会社は生産性も低い。

10年前に大人気となったNHKの朝の連続ドラマ「あまちゃん」で、主人公のアキが高校の授業中に何かを思い出して突然、勝手に教室を飛び出します。そのとき教室にいた先生が「そんなに自由か?」とコミカルに叫ぶシーンがあります。確かに、こんなに勝手気ままに生徒が授業を抜け出したりすると「学級崩壊」になりかねませんね。「会社ではあり得ない。」と思うかもしれませんが、実はそんなこともないのです。

「午前の仕事に区切りがついた。気分転換に喫茶店で一服でもするか。」といって、休憩時間でもない就業時間中の10時ごろに職場から30分ほどいなくなってしまうというようなケースは実際にあった事例です。また、「今日は雨が強く降っていたので車で出勤しました。2時間の駐車サービス券を2枚いただきますね。」と平気な顔で、会社が契約して費用負担しているお客様用の駐車サービス券をもっていってしまう従業員も実はよくある事例です。

前者の事例は就業規則に認められていない休憩ですから、30分間は「不就労」時間として「欠務控除」の対象になります。それだけではなく、本来は労務提供するべき時間をサボっているのですから労働契約上の服務義務を違反していることになり、処分の対象となり得ます。後者の事例では、お客様への駐車代金のサービスという目的の会社の経費を、従業員が自分で負担すべき費用を「会社に負担させる」という本来の目的以外で消費しているので、経費の「盗取」に該当する可能性があります。

問題はここからで、本来は経営者なり上司なりが「今は就業時間中ですよ。休憩は休憩時間中に取るように。」と注意すればいいことですし、「自分の駐車場代金に会社の経費になるサービス券を使うのはできないよ。」と拒絶すればいいことです。しかし、それができていないのです。なぜでしょうか。それは注意指導するべき立場の人間も同様のことをしてしまっているからです。

「なぜ、そのようなことが行われていたのですか。」と聞くと、「過去から先輩がそのようにしていた。だから、問題ないと思って自分も行っていたし、部下や後輩の同様の行動にも目をつぶってきた。」という回答をいただきます。しかし、前述のような「違反行為」にあたることを説明して、「おかしくないですか」と確認すると「確かにおかしいですね。」「当時から、おかしいなと思っていました。」という答えが返ってきます。しかし、「おかしいと感じておきながら、そのままにしておく。」はユルユルな組織につながりかねません。

「自由な職場風土」も結構ですが、従業員が勝手気ままに職場で振る舞うことを見過ごせば、会社の秩序は乱れて逆に従業員の生産性が下がりかねません。「ルールで従業員を締めすぎると息苦しくなって、かえって逆効果ではないか。」とのご意見もあるかも知れません。しかし、必要以上にタガを緩めすぎると「組織崩壊」が起ってしまうのではないでしょうか。そうならないためにも、「会社のルールは守る。」ことを従業員に徹底して身に着けさせることです。いずれにしても、一度崩壊した組織に再びタガをはめるのは困難になるということも覚えておいてください。

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