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No.170話:使用者が労務管理において「情実」を忘れてはならない理由とは。

会社経営において経営者は、ときに専門的な知識を必要とする課題に直面することがあります。例えば経営者や役員が判断に窮するとき、社外から弁護士、技術士、建築士、司法書士などの法律・技術のスペシャリストのサポートを要請します。そして、彼ら専門家は関連する法律や知識に基づいて経営者が事業運営において、誤った選択や判断ミスをしないようように必要な助言を行います。

このような場面において、専門家は法律や会社が定めた定款などのルールに違反しないように、場合によっては経営者が期待する内容と違う助言や注意喚起を行わざるを得ないことがあります。しかし、これは専門家として当然のことです。それができずに経営者の意を汲んで法律に違反するような助言や提案をするようでは、専門家としては「失格」と言わざるを得ません。

逆に経営者は自身が期待した助言が受けられず、意図した経営上の判断ができなかったとしても受け入れざるを得ません。専門家の助言や提案を無視して、万が一に経営に大きな損害や事業の後退が生じても、経営者が責任を取らなければならないのは言うまでもありません。

では、労務管理においてはどうでしょうか。こちらについても社会保険労務士のような労務の専門家が法律や就業規則に基づいた助言や提案を踏まえて判断すべきと思います。しかし、ことは労務問題であり、従業員という人間を相手にする問題ですから会社の事業運営上の課題とは一線を画すべきではないでしょうか。

例えば重大な過失により、会社の工場で火災を発生させて大きな損害を発生させた従業員がいたとします。就業規則に照らすと、「解雇」事案に該当するため当然、専門家は「解雇相当である」と助言すると思います。しかし、経営者や直属の上司が日頃の従業員の間地面な働きぶりや、火災発生日まで残業が続いていて疲労が蓄積していたという事情があって、そのことを知っていた場合は「解雇」処分の判断はできないと思います。しかし、それでいいと思います。「情状を酌量する」ことは労務管理において必要なことです。

逆もしかりです。前述と同様に重大な過失で「火災」といかないまでも、「ボヤ」を起こした従業員に対して、専門家が「出勤停止5日が相当。解雇は不相当。」と助言しました。しかし、その従業員の日頃の勤務態度が悪く、火の取扱いも雑で再三注意を受けていたという事情があれば、会社として「退職勧告」や「解雇」といった、より厳しい違う判断があってもよいと思います。

すなわち、労務問題については一般的な理屈やルールだけで判断するものではないということです。理屈やルールだけでは人間性を無視した冷たい職場になり、生産性にも影響が出かねません。そういう意味で「情実」を忘れずに労務管理をするということはとても重要なことではないでしょうか。

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